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誤解だらけなのか
CO2削減、イギリスの戦略
コペンハーゲン会議での枠組み合意が世界経済の新たな原動力になる
デンマークのコペンハーゲンで今年12月に、国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議が開催される。地球温暖化防止に向けた世界各国の熱意が問われる重要な舞台だ。
だが各国の意見の隔たりは大きく、温暖化対策の枠組み合意は危機に瀕している。地球を気候変動から守る機会をここで逃せば、近い将来、同じようなチャンスは得られないかもしれない。
既に気候変動は始まっており、それが地球に与える悪影響は科学的データから明らかだ。コペンハーゲン会議での失敗は許されない。
気候変動の脅威は環境と人間だけでなく、経済にも及ぶ。イギリスの経済学者ニコラス・スターンが3年前に発表した報告によると、地球温暖化が緩和されなければ、世界のGDP(国内総生産)の5〜20%に相当する損失が生まれる恐れがある。その経済コストは、20世紀の2度の世界大戦や大恐慌による損失を上回るという。
経済が低迷している今は、コストが高い環境問題への取り組みを控えるべきだという声もある。だがその主張は誤りだ。コペンハーゲン会議での枠組み合意は世界経済にとって欠かせない。合意が促進するはずの投資に、世界の景気回復がかかっているからだ。
21世紀の経済が二酸化炭素(CO2)の排出を減らす「低炭素化」に向かうことはほぼ間違いない。低炭素化に向けた努力は、今後10年間の経済成長の大きな推進力になるだろう。環境革命にいち早く取り組んだ国が、最大の経済的恩恵を得ることになる。
政府と民間部門の連携で
まず、省エネ化の進展によって生産性が向上するはずだ。燃料費の減少で余った資金は投資に回すことができる。
国際エネルギー機関(IEA)の推定では、低炭素エネルギーの生産とインフラ構築のために30年までに最大33兆ドルの投資を要するという。先進国では老朽化したインフラの刷新、新興国では急増するエネルギー需要への対応が必要だ。世界の環境部門の規模は15年までに7兆ドルに達し、膨大な雇用を創出する可能性がある。
低炭素社会の実現に向けた動きのなかで最も重要な要素は、技術革新だろう。
既にバッテリーの分野では、自動車産業が電気自動車の研究開発を推進しているため、大規模な技術革新が進行している。環境に優しい建築技術や軽量素材、太陽エネルギー、CO2の回収・貯留といった分野も同様だ。
1つの分野での技術革新が他の分野にも影響を与え、世界全体に経済的なメリットが波及していく。
情報・コミュニケーション分野の技術革命が過去30年にわたる成長の原動力となったように、低炭素技術への転換が今後30年の成長の立役者になるだろう。
過去1年で、各国政府が経済活性化のために環境分野への投資を推進したのも当然だ。エネルギー効率改善とインフラ構築への支出は、短期的には需要と雇用の創出に重要な役割を果たす一方で、未来の成長のための基盤となる。
低炭素化に向けた動きは雇用拡大と、新たな産業や輸出市場の創出を促し、低迷する経済の活性化に役立っている。だがその勢いを保つには、各国政府の後押しが欠かせない。
このプロセスにおける政府の役割は極めて重要だ。信用危機で経済がダメージを負った今、政府は主要な成長部門に対する民間投資を促すために、積極的な対策を実施していく必要がある。
低炭素化を実現するための投資を促進するのも、政府の大事な使命だ。環境関連市場は、CO2の排出削減とエネルギー安全保障の改善を目指す政府の努力によって支えられている。
政府は十分な経済刺激策を用意するとともに、投資意欲を高める努力をするべきだ。低炭素化プロジェクトの推進には、政府と民間部門の連携が欠かせない。