コラム

ノーベル平和賞を狙う?...第2次トランプ政権の中東政策の行方

2024年11月19日(火)14時30分

トランプは次回28年の大統領選には立候補できない。有権者を取り込む必要がないトランプの政策の決め手となるのは何か。それは「トランプ・ファースト」、つまり本人の利益にかなうかどうかだ。

トランプの大統領補佐官を務めたジョン・ボルトンも指摘するように「1期目のような親イスラエル政策を取るかどうかは全く不透明。そうなる可能性もあるが、本人にとって利益になるかどうかが一番」なのだ。


政権の布陣も鍵を握る。前政権では熱心なキリスト教福音派信者のマイク・ペンスが副大統領、同じく福音派のマイク・ポンペオが国務長官を、また娘イバンカの夫で敬虔なユダヤ教徒である娘婿ジャレッド・クシュナーが上級顧問を務めた。

だが、クシュナー夫妻は今回の選挙戦には直接的には関わらず、政権入りの予定はない。次期副大統領J・D・バンスに至っては、「ホロコーストは意図的ではなかった」と発言した保守派ジャーナリストを批判せず物議を醸すなど、イスラエルに対する姿勢は未知数だ。

しかし、政権の布陣がどうであれ、アメリカ外交にとって中東地域が重要であることに変わりはない。特に第2次トランプ政権における中東政策の目玉の一つはイスラエルとサウジアラビアの国交正常化であろう。

イスラエルのネタニヤフ首相は今年7月にアメリカ訪問した際に早速トランプと会談するなど、秋波を送り続けてきた。また、サウジアラビアのムハンマド皇太子も前政権時代から良好な関係を続けている。

プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。エルサレム在住。

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