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パックンの風刺画コラム Superpower Satire (USA)
銃規制をできるニュージーランドと、できないアメリカ(パックン)
A Tale of Two Countries / (c) 2019 ROGERS─ANDREWS McMEEL SYNDICATION
<銃乱射事件の6日後に銃規制法を変えたNZと、銃乱射が日常化しても何も変わらないアメリカでは、何が違う?>
銃乱射事件の後の対応は国によって変わる。3月15日にニュージーランドのモスク(イスラム礼拝所)で乱射事件が起き、50人が射殺された。同国史上最悪の乱射事件だった。ジャシンダ・アーダーン首相はすぐにテレビ演説で「ニュージーランドにとって最も暗い日」と語り、翌日には現地に駆け付けて「銃規制法は変わる!」と強く断言した。そして、6日後に......法律が変わった。
アメリカ史上最悪の銃乱射事件が起きたのは2017年10月1日。ラスベガスの野外コンサート会場にいた59人が狙撃銃で殺された。数日後に現地を訪れたドナルド・トランプ大統領は記者に「銃規制は?」と聞かれ、「その話はしない」と、こちらも断言した。それから1年半がたち......ほぼ何も変わっていない。
両国では何が違う? まずは乱射事件の数。3月以前で、ニュージーランドで5人以上が殺された乱射事件が最後に起きたのは1997年。アメリカで5人以上が殺された乱射事件が最後に起きたのは今年2月。その前は1月。ラスベガス以来、13回も起きている。銃乱射が日常化している。
銃に対する意識も違う。銃保持の権利が憲法に定められているアメリカと違って、ニュージーランドでは銃を持つのはいつでも取り消されかねない「特権」だという。銃の数自体は少なくはない。100人当たり22丁だ。しかしアメリカでは112丁と、人よりも銃が多い! ニュージーランドで人より多いのは羊。
もう1つ大きく違うのはNRA(National Rifle Association=全米ライフル協会)の存在。実はニュージーランドにもNRAはある。こちらは長距離射撃の競技団体で、政治活動はしない。米NRAは政治活動がほぼ中心で、ある政治資金調査サイトによると政治献金に86万ドル、ロビー活動に500万ドル、選挙関連費用に940万ドルもかけている。この金の力をもって銃規制強化を常に阻止しようとするが、その成功率も100発100中に近い。共和党(GOP)の政治家がNRAの金に目がくらんでいる限り、アメリカの「最も暗い日」はこの先もたくさんありそう。
ちなみにニュージーランドのNRAは風評被害を避けるため、名称変更も考えているという。僕の改名案は「ニュージーランド・ライフル協会(NZRA)」。ロゴにZを足すだけで済むしね。
【ポイント】
PROFILES IN COURAGE...
勇気ある人々......
ASSAULT WEAPONS BAN!
攻撃用武器の禁止
I CAN'T IGNORE NEW ZEALAND'S DARKEST DAY...
ニュージーランドの最も暗い日を無視できない
IT'S DARK IN HERE TOO!
ここも暗いよ!
<本誌2019年04月09日号掲載>
※4月9日号(4月2日発売)は「日本人が知らない 品格の英語」特集。グロービッシュも「3語で伝わる」も現場では役に立たない。言語学研究に基づいた本当に通じる英語の学習法とは? ロッシェル・カップ(経営コンサルタント)「日本人がよく使うお粗末な表現」、マーク・ピーターセン(ロングセラー『日本人の英語』著者、明治大学名誉教授)「日本人の英語が上手くならない理由」も収録。
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