コラム

アメリカ社会は「大谷翔平騒動」をどう見ている? 有名コメンテーターでさえ「大谷も有罪」だと信じている理由

2024年04月03日(水)16時50分

アメリカ人の多くは大谷の釈明に満足していないが、報酬の後払いを自ら申し出るほど利他的でカリスマ的な大谷を心から応援したいと思ってもいる。ブックメーカー側の弁護士でさえ、大谷は連邦政府の捜査対象ではないと明言している。

しかし今は、アメリカ中がギャンブル漬けになっている。野球界の希代のスターが違法行為に関与していたかどうかは別としても、球界の内部にいた人物がここまで深くギャンブルにはまっていたという事実は重い。徹底した内部調査が必要だし、荒稼ぎしている違法ギャンブル業者の実態も暴き出すべきだ。

スポーツの魅力の1つは実力主義と公平な勝負にある。球界としては、今回の件を堕落した一人の男の問題として片付け、早くフィールドで大谷に大活躍してもらい、ほかにも野球を汚すような行為に手を染めている人間がいる可能性には目をつぶりたいところだろう。しかし、それではいけない。大谷を襲った今回のスキャンダルを機に、アメリカ社会全体のギャンブル依存を見直すべきだ。

大谷よ、君には野球の歴史を塗り替えるだけの才能と魅力がある。その大きな存在感で、アメリカ社会の在り方も変えてくれ。

<本誌2024年4月9日号掲載>

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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