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アメリカ社会は「大谷翔平騒動」をどう見ている? 有名コメンテーターでさえ「大谷も有罪」だと信じている理由
大谷はなぜ、水原の不審な行動やサインに気付かなかったのか? それは私たちが配偶者や兄弟、親友や親にだまされるのと同じだ。
人生の複数の領域で、同じ個人に長期にわたって「通訳されてきた」経験のあるアメリカ人なら、大谷の苦境をより深く理解できるだろうと、私は確信を持って言える。
そのような経験のない人は、大谷が何らかの形でギャンブルに関与し、カリフォルニア州法を破って水原の借金を払った可能性が高いと考えるほうがしっくりくるだろう。しかし、それほど深く心理的かつ複雑な考察に踏み込まなくても、この試練全体を反論の余地のないほど論理的かつ簡潔に説明することはできる。
水原はメディアや球団、大谷の代理人らの間で交わされる全ての会話をつなぐ立場にあったから、話を自分の都合のいいように組み立てることができた。しかしギャンブルでの負けが込み、嘘を重ねるにつれて、ついに身動きが取れなくなり、大谷の金に手を出してしまった。それでも大谷が何も気付かず、ずっと水原に全幅の信頼を寄せていたのであれば、大谷には人を見る目がなかったということになる。
アメリカ社会を変える存在に
ギャンブルが人生にもたらす負のスパイラルとは別に、もう1つ簡単に説明できることがある。
大谷の通訳となってから、水原の置かれた状況は大きく変わった。ただし世間に公表する類いのことではないので、今までは伏せられていた。しかし水原の報酬については、いずれ明らかになる。そうすれば、大谷の金に手を出す行為を内心で正当化した水原の心理も理解できそうだ。
そもそもゴルフのキャディー(試合中のパフォーマンスを向上させる)やタレントのエージェント(ビジネスを処理する)はスターの収入の10%程度を受け取っている。
水原は、もちろんキャディー以上の役割を果たしてきた。だから大谷の稼ぎが軽々と年間1億ドルを超えている以上、自分も1000万ドル単位の報酬をもらって当然だ。水原がそう考えて自分の行為を正当化した可能性は十分にある。
比較は幸福の敵だ。水原だって所得のトップ1%の富裕層に属しているだろうが、付き合う相手はトップ0.00001%の人たちだ。そんな状況が、もともと誠実さにおいて模範的とは言い難かった人物(水原は出身大学やレッドソックスでの勤務歴などについても嘘をついていたとされる)をさらに堕落させたのではないか。
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