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アメリカ社会は「大谷翔平騒動」をどう見ている? 有名コメンテーターでさえ「大谷も有罪」だと信じている理由
マイケル・ジョーダンは引退を表明した2年後に復帰したが、その空白の2年間はギャンブル漬けのジョーダンに対するNBAによるペナルティーだった可能性がある。ホームラン王のベーブ・ルースは近代野球を発展させたが、大酒飲みで女遊びが激しいことでも知られた。快進撃を続けていたタイガー・ウッズのゴルフ人生にブレーキをかけたのは、セックス依存と家庭崩壊だった。
パラダイムシフトを起こすようなスポーツ選手の偉業は、たいてい節度のなさとセットになっている。途方もない野望と才能を兼ね備えた超人的プレーヤーであればあるほど、仕事を離れると抑制が利かなくなるらしい。仮にもギャンブルに手を出せば、凡人には想像もつかない大金をつぎ込むだろう。そう、火のない所に煙は立たない。
そしてアメリカ人は、スターの素顔を知りたがる。いつもはいているのはボクサーパンツかブリーフかとテレビのトーク番組で問われて、苦笑いしつつ質問に答えるスター選手に喜び、SNSに毎日投稿してくれることを期待する。神様級のアスリートは特別なブランドになる。超大物アスリートがスポーツ以外の分野で、本業の何倍もの収入を得ているのも偶然ではない。
大谷が慎重な性格であるために(発言が全て別の人物によって通訳されるという事情もあって)、スターのことを何でも知りたがるアメリカ人は今回の件で、すかさず別の点にも疑念を抱き始めている。大谷の結婚発表にチームメイトは驚いたとされるが、誰かとデートしていたことにも気付かなかったというのは、どう見てもおかしい。
個人的には、筆者は大谷の慎み深さを好ましく思う。だがアメリカ人はスキャンダルが起きると、不正行為を示す形跡が過去に一切なかったとしても、不可解な態度に説明をつけようと勝手に推測し始める。しかも今回のスキャンダルは、アメリカの野球史と文化風土のいずれにも関わっている。ピート・ローズの通算安打記録は神聖化されているが、そのローズも野球賭博に手を染めて球界を追われた。大谷がスポーツ賭博に関与したことはないと強調したのも、そうした背景があるためだ。
しかし今のアメリカには、暗号資産やミーム株に大金をつぎ込み、火星に植民地を造るという夢物語に投資し、ゲーム感覚で株取引やスポーツ賭博に手を出す人がたくさんいる。だから大谷のスキャンダルにわが身を重ね、あれこれ推測したくなる人が多いのも無理はない。
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