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「トランプ」が民主党の勝因。そして共和党に2人の新星が登場した
選挙運動中のバイデン(右)とオバマ(中央)、フェッターマン(11月5日) KEVIN LAMARQUE-REUTERS
<米中間選挙は、紛れもない民主党の大勝利となった。「赤い波」が起きなかった理由は3つあり、選挙を通して、2024年大統領選を考える上で重要なことが4つ見えてきた>
政治とは、事前の予測が重要な意味を持つ世界だ。予測を上回ると勝利が誇張され、下回ると崩壊を嘆く声が大きくなる。
今年の米中間選挙は、まさにその好例だった。
米政治は現在の民主党の完全支配から行政府と議会のねじれへと転換。共和党の下院支配でバイデン大統領の各種の法制化の野望は完全に打ち砕かれ、今後はバイデン自身への追及はもちろん場合によっては弾劾につながる可能性もある。
南北戦争以来、現職大統領の与党は39回の中間選挙のうち下院は36回負けている。しかも、大半は大差での惨敗だ。
大統領の支持率が50%を下回ると、野党は下院で平均46議席増やしている。再選を果たした2人の民主党大統領(クリントンとオバマ)は、最初の中間選挙で60議席前後減らした。2024年大統領選でバイデンと再び対決する可能性があるトランプ前大統領は中間選挙で40議席を失った。
だがバイデンと民主党は予測を大きく上回り、従来の常識を覆して無党派層の支持を獲得した(CNNの出口調査で49%対47%)。
バイデンは「逆境に打ち勝った」と誇ってみせたが、この結果はバイデンと民主党への信任というより、共和党への非難の色合いが強そうだ。
出口調査の結果、民主党は中道派の有権者の間で15ポイントもの圧倒的差をつけた。この数字や各種調査から、共和党に過大な権力を持たせることを恐れる民意がうかがえる。
歴史的傾向と識者の予測どおりに「赤い波(共和党の大躍進)」が起きなかった主な理由は3つある。トランプの不人気、共和党に魅力的な政策や問題解決策が欠けていたこと、そして候補者の質の低さだ。
まず、バイデンの支持率は低迷しているが、出口調査によればトランプよりは少しだけ高い。
その意味でトランプが投票日の直前、2024年大統領選出馬を明らかに示唆する「重大発表」を予告したことは、民主党にとってかなりの追い風になった。
脚光を浴びたくて仕方がないトランプの大々的な再登場は、多くの無党派層にとって悪夢であり、今も共和党を支配しているのはトランプであることを再認識させるものだった。
一方、民主党は選挙戦の終盤になって、今も人気のあるオバマを前面に出したことが功を奏した。オバマは熱い言葉で選挙への参加を訴え、共和党の愚行を舌鋒鋭く攻撃した。
政治は対比と選択肢が大きくものをいう世界でもある。トランプはいまだに最も人気のない選択肢のままであり、その存在感の大きさが共和党の足を引っ張った。
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