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日本国債の残高9年ぶり圧縮、低利回り債入れ替えポートフォリオ強化=日本生命・25年度運用計画

2025年04月24日(木)19時01分

 4月24日、日本生命保険は2025年度の一般勘定資産運用計画で、円金利資産の柱である「国内債券等」の残高を圧縮する。写真は同社のロゴ。2019年2月、都内の本社で撮影(2025年 ロイター/Hideyuki Sano)

Tomo Uetake

[東京 24日 ロイター] - 日本生命保険は2025年度の一般勘定資産運用計画で、円金利資産の柱である「国内債券等」の残高を圧縮する。日本国債についても、日銀のマイナス金利導入を受けた2016年度以来9年ぶりの残高減となる。超低金利の時期に投資した低利回りの債券を売ってより高い利回りの債券に入れ替え、ポートフォリオの強化を図る。

都築彰執行役員・財務企画部長が24日、運用方針説明会で明らかにした。

今年度の新規資金は、円債の入れ替えで売却損が出る関係で例年より少ないが、24年度実績(速報ベースで6100億円)とおおむね同程度を見込む。

このうち、円金利資産の軸となる「国内債券等」には30年物日本国債をメインとする国内債券のほか、通貨スワップでキャッシュフローを円建てに固定した外国社債が含まれるが、いずれも残高を圧縮する。

日銀の金融政策正常化を背景とした金利上昇を受け、過去の利回りが低い(価格が高い)時に購入した債券を売却し、代わりにより利回りの高い(価格の安い)債券を買うため、日本国債については簿価ベースの残高は減るものの、時価ベースで見れば残高は増える。

「保有する国債の償還分は全て再投資するのに加え、新規にアロケーションで増やす分もある。入れ替えをして売却損が出ればその分簿価が下がるためマイナスとなるが、トータルの投資行動として売りと買いのどちらが大きいかと言えば、買いの方が大きい」(都築氏)という。

日銀の金融政策については、国内の経済・物価の情勢や金融市場の動向を慎重に見極めた上で、年度内に0.75%への利上げを行うと想定。その後も政策金利1.0%への追加利上げがあるとのシナリオを描いている。

また国内金利の上昇余地は大きくなく、年度末の10年金利を1.4%(足元は1.3%)、30年金利は2%台半ば(足元は2.7%)とおおむね横ばい圏での推移を見込む。

超長期債の購入ペースについて、都築氏は「基本は平準的なペースだが、足もとの金利は水準的には魅力的で、4月前半だけで言うと多めに買っている。今後はマーケットの動き次第だが機動的に、流動性も勘案しながらペースを調整していく」と述べた。

また外国債券のうち、「円債代替」である為替ヘッジ付き外債についても、残高増加を見込む。ヘッジコストの変動に耐性を持つ変動金利資産を拡充するほか、中長期の視点で妙味のあるソブリンや社債にも投資する。

一方、オープン外債については、為替や金利水準次第だが、残高は横ばいから増加を見込む。通貨オプションを用いた為替リスクをヘッジした取り組みが中心となる。

このほか、国内株式の残高はやや減少、外国株式は利回り向上と分散投資の観点からオルタナティブを増やす。国内不動産は物件のリニューアルに投資するなどして残高は横ばいの見込み。

日本生命の一般勘定の資産残高は、12月末時点で82兆7216億円。うち外貨建て資産は22兆6227億円(27.3%)。

2025年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.90―2.00% (年度末1.40%)

米国債10年物利回り  3.00―5.00% (年度末3.80%)

日経平均株価      3万1000―3万9000円 (年度末3万6000円)

NYダウ        3万6000─4万7000ドル(年度末4万3000ドル)

ドル/円        130―155円 (年度末140円)

ユーロ/円       145―175円 (年度末160円)

(植竹知子)

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