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ニューヨーク・タイムズに告ぐ、もう候補者推薦を止めよ
ニューヨーク・タイムズは女性候補2人への支持を表明したが…… IVAN ALVARADOーREUTERS
<読者のために良かれと思い160年も続けている習慣だがトランプ時代にはそぐわない>
新聞は建前上、現実の公正な媒介者であり、読者が客観的な情報を得られるように特定の価値判断や意見の偏りを排除した報道を行うことになっている。
だがニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は1月19日、160年前から続く慣例にのっとり旗色を鮮明にした。米大統領選の民主党候補として、エリザベス・ウォーレン、エイミー・クロブシャー両上院議員を支持すると表明したのだ。
これでも新聞は公平な媒介者なのか。特定候補への支持を明言しておきながら、日頃のニュース報道は客観的だと、どうして言えるのか。
代表的な新聞側の自己弁護は、社説などの論説部門とニュース部門は完全に分離されているというものだ。公共政策を報道する場合には、(ニュース部門の客観的な事実報道をゆがめない範囲で)実際には何が望ましいかを提言または議論する論説部門が必要だと、彼らは口をそろえる。新聞にはまた、読者が複雑な世界を理解し、自分の意見を持つ手助けをするという役割もある。特定候補の推薦も、この役割の一部だ。
だが、反エリート主義のポピュリズムが優勢な今の時代には、権威あるメディアの推薦は逆効果になりかねない。16年大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントンは歴史上、新聞やニュース雑誌から最も支持された候補者だった。高級紙や雑誌の実に97%から支持を集めていた。NYTは民主党の「選挙マシン」かだが、大統領選では勝てなかった。
それどころか、新聞の推薦はヒラリーの足を引っ張ったとも言われている。マスメディアは反トランプの陰謀に加担しているという主張に根拠を与え、メディアの批判に対するトランプの防御力を強化する結果になったからだ。
この傾向はトランプの大統領就任後、さらに強まっている。ナイト財団の中立的な研究によると、共和党支持者の90%はメディアを信用していない。メディアは「正しい」行動を促すために推薦状を出しているのに、皮肉な話だ。推薦状は今や、彼らが大統領と敵対関係にある証拠と見なされている。
これも皮肉な話だが、トランプが悪行の告発から逃げおおせる可能性が高いのも、一部には伝統的な新聞の推薦のせいでもある。新聞がトランプのさまざまなレベルの犯罪行為を客観的に報道しても、トランプ支持者からは偏向メディアの作り話として一蹴されてしまう。メディア側はよかれと思ってやっている。
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