- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- アメリカで加速するAIの実用化、日本の進むべき道は…
アメリカで加速するAIの実用化、日本の進むべき道は?
英語でも、ビジネス文書について「感じの良さ」「内容の正確さ」「利害が対立した際に突っ込まれない防衛的な表現」に気を配りながらレターを書くというのは面倒な作業です。それを、かなりの精度で下書きしてくれるAIは既に多くの社会人の心強い味方になっています。この勢いでAIが普及すれば、法律や会計などの文書作成業務などでどんどん人力がAIに置き換わると言われていますが、もうこのような動きは実際に始まっているのです。
仮にこの勢いで英語圏でAIの実用化が加速し、知的労働における生産性が向上するようですと、独立言語圏の日本は生産性において更に遅れを取る可能性があります。加えて、硬直した著作権への考え方を反映した規制など、日本ではAIの利点を活かすための知恵を加速するよりも、AIのデメリットを懸念する動きが目立ちます。
AIの成否を左右するのは何よりもデータの量です。日本語のデータ蓄積は英語圏と比較して1桁以上少なく推移するかもしれず、これに規制が乗っかるようですと、純日本語のAIというのは、英語版にどんどん置いていかれるのは間違いありません。そうであっても、英語版が加速度的に充実してゆくのであれば、日本語との翻訳ツールに資源を集中していって、英語のデータを活かすということは可能だと思います。
問題は、そうした日英、英日の自動翻訳についても既にシリコンバレー勢力がどんどん実用化を進めているということです。少なくともこの分野、つまり自国の言語である日本語と英語との翻訳ツールだけは、日本国内に精度が高く使い勝手の良いサービスを立ち上げて、これ以上の国富の流出を避けることを考えるべきと思います。
【関連記事】
「マフィアの温床」からMLBのスポンサーに...手軽化・巧妙化する「ネットギャンブルの闇」
好発進の民主党ハリス候補、打倒トランプのカギは「格差問題」
2024年12月10日号(12月3日発売)は「サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦」特集。地域から地球を救う11のチャレンジとJO1のメンバーが語る「環境のためにできること」
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
二期目のトランプと「現実世界」を繋ぐのは誰か? 2024.12.04
日本とアメリカの現状否定票、その共通点と相違点 2024.11.27
環境活動家のロバート・ケネディJr.は本当にマックを食べたのか? 2024.11.20
アメリカのZ世代はなぜトランプ支持に流れたのか 2024.11.13
第二次トランプ政権はどこへ向かうのか? 2024.11.07
日本の安倍政権と同様に、トランプを支えるのは生活に余裕がある「保守浮動票」 2024.10.30
米大統領選、最終盤に揺れ動く有権者の心理の行方は? 2024.10.23