- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 加速するAI実用化、日本がやるべきことは?
加速するAI実用化、日本がやるべきことは?
このような包括的提携によって、アップルの側はユーザーに利便性を提供し、オープンAIの側は許諾のある、そして意味のある膨大なデータが手に入ることになります。マスクが懸念を表明している背景には、本当は先を越された悔しさもあるのかもしれません。
日本の場合は、2022年11月30日にChatGPTが一般公開されて以来、AIをより活用するとか、より性能を向上させるといった観点での議論よりも、AIによる著作権侵害などへの懸念の議論が先行していました。ある意味で今回の提携は、日本が積極的に問題提起した懸念への回答という面があるのかもしれません。
日本語のデータ不足が課題に
ですが、そんなことで満足していてはダメです。日本の官民も、よりAIを活用して経済を活性化し、人々の暮らしを豊かにする方向での議論を進めなくてはダメだと思います。さしあたって気になるのは、日本語のデータ不足です。日本語は英語に比べればマイナーですから、そもそもの言語データが足りません。さらに、官民ともに著作権を怖がるだけではデータ収集にも限りがあります。
データが少なければ、AIの吐き出す結果はいつまで経っても使い物になりません。今回のアップルとオープンAIの協業構想を受けて、日本語圏でも合法的に収集できる言語データ量を増やす仕組みを、様々な立場から考えていく必要があると思います。
そう考えると、非英語圏の中では比較的アップル製品が普及している日本では、今回の協業を受けて、アップル製品が生成する日本語データが大量にオープンAIのデータベースに蓄積されてしまうかもしれません。そうならない前に、日本国内でしっかり自国語による言語データ、しかも許諾のあるデータを蓄積する仕組みを構築する必要があると思います。
【関連記事】
都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな
バイデンとトランプ、それぞれの苦境

アマゾンに飛びます
2025年4月22日号(4月15日発売)は「トランプショック」特集。関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
グーグルへの公取「排除命令」は、日本のデジタル赤字対策になるか? 2025.04.16
トランプ関税が抱える2つの謎......目的もターゲットも不明確 2025.04.09
博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日本社会の側にある 2025.04.02
内紛続く米民主党、震源地はニューヨーク 2025.03.26
トランプが南米ギャング団幹部を国外追放、司法との対決に直面 2025.03.19
株価下落、政権幹部不和......いきなり吹き始めたトランプへの逆風 2025.03.12
施政方針演説で気を吐くトランプに、反転攻勢の契機がつかめない米民主党 2025.03.06