コラム

G7広島サミットは、ウクライナ和平を主導する気概を見せられるのか?

2023年03月22日(水)16時40分

もちろん、その道のりは簡単ではありません。ですが、少なくともリスクを取ってキーウに乗り込むのであれば、ブチャで悲憤を示し、キーウでゼレンスキーと握手するだけでは全く不十分です。和平という難しい外交へ向けて、G7をどうまとめていくのか、G7和平案として習近平案を上回る内容を提示するために何ができるのか、少なくともその文脈において、キーウ訪問が何らかの前進になるようでなければならないと思います。

西側として、今しなくてはならないのは、とにかく習近平案を上回る有効な和平案を提示し、習近平を上回る交渉力で、その和平案を実現に向けて進める気概があるのかを見せていくことです。

西側は民主国家なので、政治家は選挙を恐れなくてはならず、その場合は戦争という「敵があって他人の血が流れている状態」があった便利であり、その上で敵味方をハッキリすることで劇場型リーダーが内政問題を隠しつつ求心力を維持できる、だから和平でなく戦争を望むのだ......仮に習近平やプーチンにそのような見方をされて、その上でバカにされるようであれば、それこそ自由と民主主義は独裁と権威主義に敗北してしまうのではないかと思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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