- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 防衛費倍増の「コスパ」を考える10の計算式
防衛費倍増の「コスパ」を考える10の計算式

岸田首相は中長期に渡る防衛費の増額とその財源の一部を増税で賄う考えを表明した Issei Kato-REUTERS
<防衛増税で大騒ぎになっているが、そもそも防衛費増額でどれだけ日本の安全が確保されるのか>
岸田政権による防衛費倍増論は、中長期の国策の提案としては余りにも唐突かつ大ざっぱであり、このままでは合意形成も難しいなかで、政治が混乱するだけのように思います。ここは原点に帰って、防衛費を増額することで、どれだけ国の安全が確保されるかという「コスパ」の観点から議論する必要があると思います。
防衛費増額の根拠としては、まず、
1)相手の軍拡がハイペースで、米日の対策が追いつかず決定的な差が生まれると、相手による実力行使の誘惑が生まれるか、または外交面で著しく守勢に立たされる。国の防衛にとっていちばん大切なのは、抑止力確保による軍事的均衡を常に維持することである。
という計算があると思われます。原則論として間違ってはいません。これに加えて、現在の日米関係には、
2)孤立主義、不介入主義を強めるアメリカに対して、いつまでも軍事費負担を渋っていると、アメリカに左右の超ポピュリズム政権ができた際には、唐突に駐留米軍撤退を通告されかねない。
という隠されたリスクがあります。岸田政権はこちらの方も意識しているのは間違いないでしょう。その一方で、
3)増税による軍拡などという政策は、通常は内閣支持率を大きく損なう。だが、岩盤支持票「しか」残らない低空飛行の場合は、これ以上支持率を損なう可能性は少ないので、居直って進めることが可能になる。国政選挙の谷間であれば余計にそうなる。
という種類の計算も露骨に見えます。もしかしたら、防衛費倍増と引き換えに、岸田政権を「使い捨て」してもいい、そんな意図もどこかにはありそうです。反対に、岸田政権としてはこの問題で強行突破できれば、政権の浮揚になるというギャンブル的な心理も見え隠れします。
リターンのない防衛投資
ここまでは比較的わかりやすい話ですが、そもそも日本が防衛費を増額することの「コスパ」という問題は、かなり複雑だと思います。復興税の充当問題などで大騒ぎする中で、何となく「倍増」そのものは既成事実化しつつありますが、改めて真剣な議論が必要だと思います。以降は、その議論を多角的に行うための問題提起とお考えください。まず、
4)円安が更に加速する前に防衛費を増額して調達をしておきたいが、基本的にリターンのない防衛投資は円安や財政悪化を加速する。結果的に相手と日本の双方が軍拡競争に陥った場合に、ある臨界点を越えると財政的に脆弱な日本は旧ソ連のように破綻に追い込まれる。
5)リターンのない防衛投資は、国債で賄うのではなく増税でチャラにしておきたいと考えるのは甘い話で、増税によって個人法人の負担が増せば、実体経済にはマイナスになり結局は同じかマイナスになる。
といった財政の論議は、財政規律かリフレかという議論とは異なると思います。リターンのない防衛投資は、経済財政政策の枠内には収まらないからです。もちろん、国が守れなければ民間の経済はないわけですが、だからといって軍事費で国が潰れては何にもなりません。
博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日本社会の側にある 2025.04.02
内紛続く米民主党、震源地はニューヨーク 2025.03.26
トランプが南米ギャング団幹部を国外追放、司法との対決に直面 2025.03.19
株価下落、政権幹部不和......いきなり吹き始めたトランプへの逆風 2025.03.12
施政方針演説で気を吐くトランプに、反転攻勢の契機がつかめない米民主党 2025.03.06
令和コメ騒動、日本の家庭で日本米が食べられなくなる? 2025.02.26
ニューヨーク市長をめぐる裏切りのドラマがリアルタイムで進行中 2025.02.19
-
経理財務/経理・財務/外資系フォワーダー/英語が活かせる
株式会社言語サービス
- 東京都
- 年収500万円~750万円
- 正社員
-
大崎/貿易・営業事務・輸出 年収634万円/世界的外資系半導体関連メーカー/在宅可/年休126日
クアーズテック合同会社
- 東京都
- 年収634万円~762万円
- 正社員
-
外資系企業を支える「英文事務」土日祝休/リモートOK/年休120日
VISTRA Japan株式会社
- 東京都
- 月給27万5,000円~50万円
- 正社員
-
イベントディレクター「渋谷・大手外資系IT企業のマーケティング・セールスチーム」/経営/ビジネスコンサルティング・シンクタンク
株式会社エムエム総研
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員