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脱原発と排出ガス削減をめぐる、日本の2つの選択肢
福島第一原発の事故をきっかけに、日本の世論と政府は脱原発へと大きく舵を切った(写真は今年2月、廃炉作業にあたる東電の作業員) Issei Kato-REUTERS
<震災以降、原発稼働を停止し石炭火力を増設することが暫定的な国策となっているが、選択肢はそれだけではない>
スペイン・マドリードで国連の気候変動枠組み条約に基づく第25回締約国会議(COP25)が開かれています。石炭火力発電に依存しているばかりか、さらに増設の計画を進めている日本に対して、国際的な批判が集中しています。会議の前には「化石賞」、つまり化石燃料に依存している状況を皮肉った賞が贈られるなど散々なありさまです。
そんななかで、小泉進次郎環境大臣は同会議の閣僚級会合で演説しました。小泉大臣は、「石炭政策について世界的な批判は認識している」としながらも、石炭政策に関しては「新たな展開を生むには至らなかった」と述べています。また特に国際的に批判が大きい「石炭火力発電所の輸出」について、自制するという発言も見られませんでした。
環境派というイメージを売ってきた小泉大臣ですから、まるで変節をしたようにも見受けられます。ですが、この発言はある意味では当然と言えます。なぜならば、これが国策だからです。
2008年に発足した民主党の鳩山政権は「2020年までに温室効果ガスを、1990年との比較で25%削減を目指す」ことを「鳩山イニシアチブ」として国際社会に約束しました。どうして、そんなことが可能になるかと言うと、民主党政権は原発の新規建設を進めるとともに、稼働率を高める計画だったからです。
ところが、震災後に旧民主党勢力はまったくの方針転換をして、原発への拒絶感を持った世論に迎合して「原発ゼロ」を主張するようになりました。また、世論を恐れるということでは、自民党の側も同様であり、再稼働には極めて慎重になっているのは事実です。政策以前の問題として、地域での同意を得ることが難しくなっています。
この流れの中で、一気に火力依存となったのですが、同じ火力の中でも天然ガス火力の場合は、円安政策のためにエネルギーコストの抑制が難しいことから、石炭火力の増設が暫定的な国策になっています。国として、本当は安全な原子炉は稼働させたいのですが、政治的リスクが取れないので、電力の安定供給のためにやむを得ず取っている方針と言えます。
もちろん、再生可能エネルギーですべてを置き換えればいいのですが、風力の場合は景観や低周波公害の問題が、太陽光の場合は天候を含めたコストの問題があり、一方で日本の場合に豊富である地熱の場合は自然保護の観点からの難しさがあります。ですから、総合的に見ればコスト的にも短期間で100%の置き換えは不可能です。
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