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現実味を帯びてきた、大統領選「ヒラリー対トランプ」の最悪シナリオ
前回2008年の予備選では、ヒラリー対オバマの激しい戦いがありましたが、その際には、例えば医療保険制度改革に関して、政府の負担がより大きいヒラリー案がいいのか、より現実的なオバマ案がいいのかといった、具体的で意味のある論争があったわけです。
ですが、今回の討論は「あくまでリベラル、つまり民主党支持者の中でのみ通用する、基本的には左派ポピュリズムとして耳触りの良い」スローガンが飛び交うだけで、内容的には空疎であったと思います。
TPPには国内雇用の点から反対というのが基調でしたし、サンダースを中心に「政府の盗聴を告発したスノーデンを評価」するような流れもあり、その是非はともかく、若年層への受けを狙いつつ、経済や軍事外交に関する「頭の痛い直近の課題」からは逃避するような姿勢が目立ちました。
討論を「勝ち負け」で見るのであれば、ヒラリーの弁舌は冴えまくって、明らかに他の候補を圧倒していたと思います。
一夜明けた反応としては、大手メディアは一斉に「ヒラリー完勝」という評価。その一方で、今回のテレビ討論を共催した Facebook 利用者のアンケートでは、75%がサンダースが「勝った」と回答するなど、世代間の断裂が浮き彫りになっています。そのいずれも、私には想定内でした。
一方で、同時期に行われた共和党の各候補に関する世論調査では、サウスカロライナ州とネバダ州で、依然としてトランプ候補が支持率36%~38%とリードを広げており、カーソン医師が2位でその約半分、「本命視」されていたジェブ・ブッシュ、マルコ・ルビオの両候補は10%にも届かないという低迷が続いています。
こうなると、一つの悪いシナリオが現実味を帯びてくるのを感じます。
それは、このまま共和党は時間切れでトランプが統一候補として逃げ切る、一方の民主党ではヒラリーが完全復活して無風で候補に選出、本選では中間層がトランプを忌避してヒラリーが圧勝......そんなシナリオです。
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