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共和党候補カーリー・フィオリーナの政治的資質
ですが、コンパック統合後の巨大化したHPでは、思うように利益体質に脱皮させられず、フィオリーナは2005年に、ドラマチックな解任劇の結果、退任しています。その後の2010年に共和党からカリフォルニア州選出の上院議員選挙に出馬、リベラル派の象徴的な大物議員であるバーバラ・ボクサーという現職に挑んだのですが、惨敗に終わっています。
一言で言えば、この人は「理念型、ビジョン型」の指導者ではなく、ビジネスでも政治でも「上」を目指して戦っていく「闘争型」の人物だということが言えます。財界雑誌の「フォーチュン」などは、その辺りが「お気に召さない」ようで、ルーセント時代の販売倍増の背景には「販売先への過度の融資枠保証」があったという暴露をしていますが、そのような手段を選ばない販売手法というのは彼女らしいとも言えます。
HP時代には何と言ってもコンパックの買収を進めました。しかし結果として、PCは価格破壊してコモディティ化していきました。同じくHPが収益の柱としていたプリンターも、マシンの価格を破壊する代わりにインクの継続販売で収益を得るという構造に邁進しましたが、結果は芳しくありませんでした。悪く言えば、ITの高度化によるデフレを生み出した張本人だとも言えます。
ですが、彼女としては「その場、その場の勝負」に全力で「勝つ」ことしかない、そんな「走り方」をしていただけだと思います。そんな中で「IT化が進むとデフレが起きる」ということ、その果てには「無料サービスの裏に収益活動を埋め込む(グーグル)」とか「超高付加価値で勝っていくしかない(アップル)」というような21世紀型のビジョンがなくては「勝てない」ということには思いはいたらなかったのだろうし、そういった未来予測や理念の話にはそもそも適性はないのでしょう。
このように「何でも勝ち負けの話」にして、必死で戦っていくというのは、アメリカの「開拓者精神」ひいては保守カルチャーに通じるものがあります。上院議員選挙に出た時も、自身のガン闘病経験を踏まえて「現職のボクサー議員は怖かったけれど、自分がガンのキモセラピー(理学療法)をやってからは怖くなくなった」などと発言していましたが、そういう「ギリギリの部分での一生懸命さ」というのは、アメリカの保守派の琴線に触れるのです。
そのフィオリーナは、中絶問題の絡みでベイナー下院議長を辞任に追いやった、「中絶容認NGO」の「プランド・ペアレントフッド」への容赦のない攻撃に余念がありません。また麻薬問題では、娘を乱用で亡くした経験に基づいて「医薬用のマリファナも許さない」という厳格な姿勢で保守派の支持を得ています。
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