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【写真特集】霧の中にたたずむ気候変動の罪なき犠牲者
THE DAY MAY BREAK
Photographs by NICK BRANDT
「パトリックとフラミンゴたち」(ジンバブエ、2020)鳥たちは送電線に引っ掛かったり、汚染水を飲んだりしてジンバブエのクインバシリ野鳥公園に保護された。パトリックはハラレ近くのチベロ湖で漁師をしていたが、水位の低下で漁獲量が激減したため漁業を諦めた
「ヘレンとスカイ」(ジンバブエ、2020)生息地を追われたキリンのスカイ。アフリカ南部のキリンの個体数は3万頭以下にまで減ってしまった。ハラレ近郊に住むヘレンは夫を亡くしており、2019年の干ばつで農作物が全滅し、飼っていたニワトリも病気でほぼ全羽が死んだ。今は極度の貧困状態にある
「ジェームズとファトゥ」(ケニア、2020)キタシロサイのファトゥは、オルペジェタ自然保護区に保護された生存する2頭のうちの1頭で冒頭写真のナジンの娘だ。ケニア中部ムランガのジェームズはかつては広い農地を持つ農家だったが干ばつで2015年に破産。ケニアでは多くの元農家が失業して肉体労働に職を求めている
「ファトゥマ、アリとブパ」(ケニア、2020)ゾウのブパは8歳頃だった1989年に他のゾウと一緒に保護された。両親はジンバブエの個体管理のための殺処分プロジェクトで殺された。アリとファトゥマの夫妻は牧畜を営んでいたが2010年以降の干ばつにより全てのヤギとウシが死に、食べ物にも事欠く状態に
Photographs by © Nick Brandt, courtesy of Fahey/Klein Gallery, Los Angeles
撮影:ニック・ブラント
ロンドン生まれ。美術大学で映画と絵画を学び、2001年から東アフリカで野生動物をテーマに作品を制作。10年、ビッグ・ライフ基金を設立し、アフリカの生態系保全のための活動を続けている。著作に写真集『This Empty World』(2019)、『Inherit The Dust』(2016)などがある。本作は最新写真集『The Day May Break』(独ハッチェ・カンツ社)からの抜粋で、同名の展覧会がロンドン、ドバイ、オスロのギャラリーで開催中
<撮影風景>
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