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【写真特集】ウトヤ島乱射事件、惨劇の被害者との10年目の再会
ONE DAY IN HISTORY
Photographs by ANDREA GJESTVANG
【ハンネ・ヘスト・ネス (当時20歳〈上〉/ 現在29歳〈下〉)】
ハンネはカフェ(下写真)にいたところで銃撃に遭った。左腕を撃たれ、左手の小指は砕かれ、頸椎はひどい損傷を受けた。親友は彼女の膝で死んでいった。
テロの後、彼女は4カ月半入院した。「病院で目覚め、小指がなくなっているのを見て、私は泣いた。指なしでどうやって生きたらいいの、と思った」と、ハンネは当時話していた。「そして、首を撃たれ、体が麻痺する可能性もあったと知った」
人物写真家になった彼女には現在、パートナーと2人の子供がいる。「事件の後、数年間は命の危険に怯えていた。(犯人が着ていた)警官の制服と、大きな音が怖かった。今はいちばん愛しているものを失うのが怖い。あの島で親友を亡くしたから」
【ナチア・チュヘティアニ (当時23歳〈下〉/ 現在33歳〈上〉)】
ジョージア(グルジア)出身のナチアはAUFのサマーキャンプに国際ゲストとして招かれ、銃撃テロに遭った。一緒に参加した親友は亡くなり、ナチアは事件後、喪に服するためオスロに引っ越した。「私と友人にとって、これがジョージアを出た初めての旅行。私はスカンジナビアの政治制度に関心があり、ずっと来たいと思っていた」と、彼女は当時話していた。
今はオスロに住み、労働の場における多様性や男女平等に関わる仕事をしている。結婚して息子が1人いる。「過去10年、7月22日に関する全てのものから距離を置くことにエネルギーを使ってきた。でも自分の経験に沈黙し、逃げることはできない。そうすれば自らの感情を否定すべきか絶えず葛藤し、前に進むことができない」
過去の自分にはこうアドバイスする。「あの日を思い出させる全ての物や人から逃げても、ウトヤ島で起こったことは変えられない。あなたがどこにいても、7月22日はあなたと共にある。あの出来事は自然災害ではなく、憎しみの行為だったとあなたは知るだろう。同じようなことが二度と起こらないようにする闘いにおいては、あなたの寛容さと献身がものをいう」
【エイリン・クリスティン・ケア (当時20歳〈下〉/ 現在29歳〈上〉)】
銃撃で受けた傷を見せてくれたエイリン(下)。キャンプでは年下の子たちを守ろうとして、腹部と腕、右膝、脇の4カ所を撃たれた。
現在は労働党の政治アドバイザーとして働き、AUFとの共同プロジェクトにも携わる。「4発撃たれたわりには、元気にやっている。体に不自由なところはない。ほとんどの人には無縁のことを経験したのだから、あの出来事の影響は確実に受けている。洞察力を与えてくれたし、自分について多くのことが分かった。少なくとも、命のあるうちに人生を楽しむことを学んだ」
過去の自分にはこうアドバイスする。「自分への信頼を失わないで。あなたは十分に善良で、能力があり、そして強い。必要なときにはあえて弱さを見せても、悲しんでもいい。あなたは理解を超えた悲痛な出来事を経験したのだから。今の瞬間を楽しみ、計画どおりにならなかったことがあっても考えないようにして」
Photographs by Andrea Gjestvang-Panos
<撮影:アンドレア・イェストバン>
ノルウェーのオスロとドイツのベルリンを拠点に活動するドキュメンタリー・フォトグラファー。銃撃テロの直後に撮影された写真シリーズはノルウェーで写真集として出版され、国外でも高い評価を得た。フォトエディターやアートギャラリーの展覧会のキュレーターとしても活躍している
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