Picture Power

【写真特集】ギャングへの救いなき福音派の祈り

SEEKING GOD IS OUR LAST ONE SHOT

Photographs by NADEGE MAZARS

2020年01月08日(水)17時30分

サンフランシスコ・デ・ゴテラにある刑務所内のファイナルトランペット教会。2010年に建設され受刑者はここで福音派の教えに耳を傾ける

<エルサルバドルのギャングメンバーは、服役中の刑務所内でキリスト教福音派に改宗する者が多いが、それでも悪の連鎖からは自由になれない>

エルサルバドルは20年以上、ギャング間の抗争による暴力に苦しんでいる。2015年には西半球で最も高い殺人率を記録。ギャングと政府の血まみれの抗争を避け、国を去っていく国民が後を絶たないのが現状だ。非営利組織の国際危機グループによると、640万人の人口のうち、ギャングのメンバーは6万人、ギャングと何らかの関わりがある者が50万人いるという。

昨年に新議会が発足したものの、政治家はギャングを撲滅せず、抑制する政策を取るだけ。その結果、刑務所の収容人数は上限を大幅に上回ってしまった。

刑務所内ではキリスト教福音派へ改宗する人が多い。北東部のサンフランシスコ・デ・ゴテラにある刑務所がいい例だ。「18番街」と呼ばれるギャング組織での活動により有罪となった1500人は、いま全員が熱心な福音派信者になった。

ただ、改宗して全ての受刑者が救われるわけではない。ある者は再び罪を犯し、ある者は過去の因縁から抹殺された。福音派が「最後の手」を差し伸べても、悪の連鎖から自由になれない運命を背負っているのかもしれない。

ppgang02.jpg

ギャング組織「18番街」の抗争相手が描いたグラフィティ。死んだメンバーにささげた絵で、仲間の死により苦しむ悪魔と天使が描かれている


ppgang03.jpg

出所したカルロスは車で首都を目指す。顔にギャング名のタトゥーがあるため同乗者に毛布で隠された。敵に出くわすと全員の命が危険だ


ppgang04.jpg

【ウィルフレッド】亡命した両親のもとロサンゼルスで育つ。06年にエルサルバドルへ送還、「18番街」の支局を創設。服役中に福音派に改宗し16年に出所


ppgang05.jpg

【ラウル】額に彫ったタトゥーを消すため、レーザー処置を受けている。「罪人になりたいと思って育ったが、今は普通の生活を送りたい」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story