Picture Power

【写真特集】「差別なき」南アフリカの差別的な現実

HOMELANDS

Photographs by PIETER DE VOS

2019年06月07日(金)18時00分

「人生は捉えどころのないもので理解したと思ったら形を変え、次はどんな表情を見せるか分からない」と語るドナルド

<アフリカ大陸で屈指の経済力を誇る南アフリカでは、拡大する貧富の格差が世界最大級となり、急速な都市化で住む場所を奪われたホームレスが急増している>

全ての人種が参加する選挙が実施されてから四半世紀。ポスト・アパルトヘイトの「差別なき」南アフリカは、大陸屈指の経済力を誇り、貧困率も減少するなど確かな発展を手にした。

その一方で、拡大する貧富の格差は世界最大級となり、急速な都市化で住む場所を奪われたホームレスが急増。そんな経済発展のひずみの象徴的な場所がある。首都プレトリアの裕福な地域の中にある貧困街、ウッドランド・ビレッジだ。

行き場を失った失業者や、生活基盤を持てない移民のために設けられたこの場所には、国内だけでなくレソトなど国外からの移住者合わせて846世帯が暮らす。「不法住民」として周囲の反発を受けながらも、裁判所は7年前に彼らの居住を許可した。それでも彼らの生活に安寧は訪れていない。排他的な人々の冷たい視線と暴力と貧困は、絶え間なく彼らを追い込む。

南ア生まれのピーター・デボスは、かつての祖国で向けるカメラの先にこの場所を選び、写真集『ホームランド』にまとめた。世界で進む分断社会と足並みをそろえたかのような貧困街。そこに暮らす1人の男性の視線を通じて、南アの現実と絶望する人々の姿を伝えるために。


ppsa02.jpg

貧困街のリーダー、ドナルド・バンダが暖を取るために燃やすのは政権与党のマニフェスト


ppsa03.jpg

写真家のデボスはドナルドの視点を通じて断絶の現実を撮った


ppsa04.jpg

暴力や襲撃にも耐えねばならない被差別スラム


ppsa05.jpg

居住者のアリー(左)を抱き締めるドナルド

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 10
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story