コラム

謎のステルス増税「森林税」がやっぱり道理に合わない理由

2024年06月11日(火)15時39分

例えば、あなたが知り合いからお米券をもらったとしよう。それを使ってお米の消費量を増やしますか? 変わらないのではないかと、(あなたの食生活を全く知らない)僕は推測する。「いちほまれ」など、少し高めなお米を買うかもしれないけど、お米券を使ったおかげで浮いたお金を衣類、貯金、娯楽などに費やす可能性もある。そこで米米CLUBのコンサートに使ったら妥当な気がするけど。

政府のお金の使い方も一緒。その有名な例が宝くじだ。アメリカでは「利益は公立学校の資金になる!」という触れ込みで法改正をして宝くじの販売を始めることが多い。もちろん、利益の一部は学校に回されるが、結局その分、州の教育予算が減らされるだけで、学校に入る合計の金額は増えないケースが相次いでいる。まあ、浮いたお金で米米CLUBを学園祭に呼ぶんだったら許そう。

森林税が必要なら、「防衛税」はどう?

そういえば日本でも教育は大事だし、学校にもお金が必要だ。森林税があるなら、なぜ「教育税」はないのかな? 「保育税」もないし。もっとストレートに「海洋税」もあってしかるべきではないか?

もちろん公共事業はほかにも沢山ある。森林環境税が必須だったら、道路税、消防税、警察税、健康税、議会税などなども必要と思われるね。その中でも、最近一番予算が増えているのは防衛費だね。なぜ「防衛税」を作らないのか?

それは多くの国民が反対するはずだからだ。しかし、あまり反対されない森林環境税でお金を集めれば、浮いた分の公金を防衛予算に回すことができるので、防衛税と言わなくても結果は一緒。そういえば、防衛省は前からレーダー探知を免れる戦闘機を欲しがっていたね。ということは、ステルス税はステルス機に使われるかも?!

○○税という名前に惑わされないで、国民はこの件も含めて、全ての税の取り方や使い方を常に検証し、精査してほしい。公平性、妥当性、有効性、必要性が納得できていればどの税も反対されないだろう。むしろ、好きな税はと聞かれたら、全部だぜい! と答えるかもね。

20250311issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月11日号(3月4日発売)は「進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗」特集。ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニスト、29歳の「軌跡」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:全米で広がる反マスク行動 「#テスラたた

ワールド

トルコ中銀が2.5%利下げ、インフレ鈍化で 先行き

ビジネス

トランプ氏、ビットコイン戦略備蓄へ大統領令に署名

ビジネス

米ウォルマート、中国サプライヤーに値下げ要求 米関
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story