コラム

祝・連載100回!当コラムの美味しいところを凝縮しました(パックン)

2023年07月08日(土)20時03分

予測や周知のほかに、制度、政策、国民の行動などをよりいい方向へと、世界を変えようとしたコラムも多い。しかし、いくら警鐘を鳴らしても、聞いてもらえないことばかり。その代表格はトランプ大統領。立候補した段階から、差別主義者だとか、ウソつきだとか、「政治テロ」を辞さない人物だとか、警告に警告を重ねてきたが、それでもトランプは当選した。そして当選したその日に、某テレビ局で選挙特番の生放送中に、僕がなぜかトランプの勝利演説の同時通訳をやることになった(嫌みか?)。何度もうがいしたが、いまだに口の中に苦い後味が残っている。

思い出せば、トランプの元側近でネトウヨ社会の重鎮スティーブ・バノンと対談したこともあった。現場でのでたらめなマシンガン・トークには圧倒されたが、しっかり事実確認をした上で、コラムで反論し、国家主義者の負のレトリックにみなさんが騙されないように警戒を呼び掛けた。しかし、これも無念。バノンは今も欧米の右翼の中で大きな影響力をふるっている。なんでみんな言うことを聞かない? もしかしたら、ニューズウィーク・ジャパンは欧米で読まれていない? いや、そんなはずはない!

みなさまのおかげでございます

思いっきりジャパン向けに発信した呼び掛けのいろいろも、電波の問題なのか、受信されていないようだ。東京大学の女性在学率を上げる案も、保守派も納得する同性愛結婚を認めさせる案も、ゲスな賄賂を撲滅する案も、どれも採用されていない。打率0%! 安定してるねぇ。

ふるさと納税制度の理不尽さも取り上げ、廃止を呼びかけたコラムもあったが、あれから7年以上経つのに、許しがたい制度は継続どころか、拡大しているのだ。やけ酒したくなるほど悔しい。 よっし、昨日届いた返礼品の純米吟醸でも飲もう!

つまり、これでわかるとおり、予測も周知も呼び掛けもうまくいっていないコラムだ。では、なぜ書き続けるか? それは、読んでくれる人がいるからだ!

本当にありがとうございます! 101回目もよろしく!

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日産、タイ従業員1000人を削減・配置転換 生産集

ビジネス

ビットコインが10万ドルに迫る、トランプ次期米政権

ビジネス

シタデル創業者グリフィン氏、少数株売却に前向き I

ワールド

米SEC委員長が来年1月に退任へ 功績評価の一方で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story