コラム

祝・連載100回!当コラムの美味しいところを凝縮しました(パックン)

2023年07月08日(土)20時03分

今後ともどうぞごひいきに…… malerapaso/Getty Images

<連載100回を記念して、8年分のハイライトをピックアップ。マイナンバーカードからトランプ前大統領まで、パックンの先見の明を発揮していた(けどみんな聞いてない)ことが分かりました>

みなさまのおかげです!

これはだいたい建前の決まり文句で、内心そう思っていないときの表現だよね。「風邪は治りましたか?」「はい、おかげさまで」とか、意味がわからない。相手がかかりつけ医じゃなければ意味不明だ。

しかし、今回は本音だ。このコラムがなんと100回目(!)を迎えられたこと、間違いなくみなさまのおかげです!

もちろん、書いているのは僕で、ファクトチェック、編集、レイアウト、アップロードなどをやっているのはニューズウィークのそこそこ優秀なスタッフ。だが、連載が続いているのは、皆様が読んでくれているおかげなのは間違いない。過去の99回の「成果」を見ればその意味が分かる。

「身分泥棒」はマイナンバーの未来?

例えば、振り返ると、僕は社会的なトレンドなどを先読みすることが多い。しかし、予測の外れが目立つ。2015年にさっそくマイナンバーを取り上げ、アメリカの国民番号制度がアイデンティティ・セフト(identity theft、身分窃盗=成り済まし詐欺)に使われていることを例に、制度の危険性を紹介した。日本も同じようになるかと思いきや、結局はマイナンバーカードをめぐり小さな問題が多発しているが、今のところ身分が盗まれているというような報道はない。役所での手続きによって、国民の時間が大量に奪われているけど。

これよりもひどく予想が外れたケースもある。「カマラ・ハリスは2024年のアメリカ大統領になる!」と、断言したことは、実に恥ずかしい。バイデン大統領がすでに24年の選挙への出馬表明をしているため、カマラの出番はない。しかも、立候補したとしても、コラム執筆当時に勢いづいていたカマラは、今や支持率が40%を切る失速具合。出ても選挙に勝つ希望はない。可能性があるとしたら、バイデンが亡くなり、副大統領のカマラが大統領になるという悲劇的な展開しかない。そんな予想の当たり方はいらない!

大事な問題の周知活動に挑戦するコラムも多かったが、これらも効果薄し。例えば、二重国籍を認めるよう呼び掛けたが、読者からの指摘を受けて、実は日本は二重国籍をすでに認められていることに気づかせてもらった。「よっし! コラムを通して、そのうれしい事実をみなさんに知らせよう!」と一生懸命張りきったが、未だにその知識が国民の間に広がっていない。多くの国民はおそらく二重国籍よりもNiziUの国籍に詳しいだろう。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:ウクライナ巡り市民が告発し合うロシア、「密告

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story