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欧米のウクライナ援助の裏にある不都合な真実(パックン)
もちろん、政策や制度の違いの理由は見た目や文明の差異であるとは正式には公表されない。そんなバイアスはあったとしても、今の時代にはそれを口に出す先進国のリーダーはいない。国境の壁建設を推進しつつ「メキシコ人は麻薬売人、犯罪者、レイプ犯だ」と言ったり、ハイチの移民を追い出そうとしつつ「ハイチやアフリカ諸国は『クソ溜め国家』だ」と言ったりするようなリーダーはいない。今は。去年1月までわが国にいたけど。
だが、潜在的な差別は政策の背景にあると考えられるし、そのバイアスはときどき、コメンテーターやニュースキャスターの発言からも垣間見える。
車が似ていてショック
米CBSの記者は「ここはイラクやアフガニスタンと違って......比較的文明度の高い......ヨーロッパの町」とキエフを描写した。カタールの放送局アルジャジーラの番組で元BBCのプレゼンターは、ウクライナ難民が紛争中の中近東や北アフリカから逃げる人ではなく、「富裕な中流階級」で「近所に住んでいそうなヨーロッパ系の家族にそっくり」と説明した。同じ思いを米NBCのリポーターは「ストレートにいうと、彼らはシリア難民と違う。キリスト教徒で白人。私たちによく似ている」と、包み隠さずに表現した。
英テレグラフ紙のコラムニストも率直に「彼らは私たちに実に似ている。だからショックを覚える」と書いた。どうやら口だけではなく、指も滑るようだ。さらに、フランスのBFMTVでは「シリア人の話ではないよ......(ウクライナ人は)私たちの車と同じような車に乗って命からがら逃げている」と、なぜか車が似ていることからもショックを覚えているようだった。
差別的な気持ちや考え方は醜いが、一番残念なのはそれによって生じる対応の違い。今ウクライナ危機に欧米が見せている団結、決意、対応の迅速さや規模は、遠いところで「違う文明」の人に問題が起きた時にも見せないといけないのではないだろうか。世界の経済力、軍事力、影響力は欧米に集中している。世界全体の平和維持に貢献する責任もその恵まれた環境に伴うのではないか。
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