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欧米のウクライナ援助の裏にある不都合な真実(パックン)
「同じ白人」というバイアスは援助にどの程度影響したのか(ウクライナ難民と交流するローマ教皇フランシスコ、3月)Guglielmo Mangiapane-REUTERS
<海外メディアが思わずポロリしたように、欧米がウクライナへの支援に力を入れるのは自分たちと顔や肌色が似ている「同じ文明の人」だから......でもそれではいけないはず>
自慢じゃないけど......というと、大体自慢が来る。でも、今回は違う。
自慢じゃないけど、僕はロシア軍によるウクライナ侵攻の前に、ある現象が起きると予想して当てていた。このコラムにはその予想は書かなかったが、報道番組のスタッフには話していたので、証人として呼んでもいいよ。
僕が予想したのは、「中近東やアジア、アフリカ、南アメリカなどで紛争が起きるときと違って、またロシアが実力を行使したチェチェン、南オセチア、シリアなどのときとも違って、今回はヨーロッパ諸国がすぐ立ち上がって抵抗するだろう!」ということ。......まあまあ普通のことだ。
だが、その理由の考察が鋭かった:「まず、ウクライナの近隣諸国はロシア(ソ連)に侵略、支配された記憶があるから。ウクライナはNATO加盟国に隣接するから。ロシアに占領されたらヨーロッパのパワー・バランスが大きく変わるから。それに、民主主義国に生まれ変わろうとしているウクライナを防波堤に、権威主義の侵食を止めたいから」などと、歴史や地政学的なファクターを挙げた。まあ、これも普通だね。
僕の自慢じゃない点はここからだ!
「あと、言いづらいが、欧米の皆さんは、自分たちと顔や肌色が似ている『同じ文明の人』が被害者になると、反応が違うから」という、「醜い」理由も述べていたのだ。
そして、これが当たってしまった。本当に自慢じゃない。逆に当たって残念な予想だ。
アフリカよりもシリア、それよりもウクライナ
当事者の見た目によって対応が変わるという傾向を、僕はアメリカでよく見てきた。黒人の子供は白人の10倍もの確率で銃で殺害されているが、ジョンベネちゃんのような金髪の白人少女が殺されると、注目度が桁違いになる。有色人種の間にコカインが流行ったときは「終身刑も含めて麻薬使用者への取り締まりを厳しくしよう!」という声が多かったのに、白人の間に鎮痛剤オピオイドの乱用が流行ると「治療の支援をしよう!」と、世論も政策も変わる。
国外への向けた対応も違う。トランプ前大統領は大統領命令でイスラム圏など7カ国からの入国を禁止。さらに中南米からの難民を「侵略」として国境に米軍を派遣して、メキシコとの国境沿いに壁を建てようとした。その一方、議員との会議ではハイチからの移民をアメリカから追い出し、ノルウェーのような国からもっと移民を受け入れるべきだと話したという。つまり、肌色の白い方を優先したいのだ。本人の肌の色はオレンジだけどね。
僕はヨーロッパで暮らしたことはないが、外から見るとアメリカと同じ傾向がうかがえる。毎年毎年、コートジボワールやナイジェリア、ギニア、エリトリアなどからヨーロッパに向かう途中の地中海で溺れる移民・難民は数千人いるが、「要塞ヨーロッパ」のガードは堅い。ところが2015年、比較的ヨーロッパ系に近い顔のシリア人の子供が砂浜で溺れている写真が出回ると、その姿に心打たれドイツ、フランス、イギリスなどは一気にシリア難民に門戸を開いた。
しかし、その門は最近また閉まってきている。そこへきて、今回ウクライナから難民は自動的に特別難民指定を受け、EU圏内に滞在し、学校に通い、医療を受け、就業することもできる超特別待遇を受けられるという。アフリカ難民よりシリア難民。シリア難民よりウクライナ難民と、待遇の差は明らかだ。
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