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世界が尊敬する海老蔵さん、白Tひとつでその凄さが分かった(パックン)
©SHINSUKE YASUI
<歌舞伎界のプリンスは海外でも赤丸上昇中。「歴史」と「イノベーション力」を兼ね備え、活躍の場を広げる市川海老蔵さんとZoomで対談しました>
※8月10日/17日号(8月3日発売)は「世界が尊敬する日本人100」特集。CHAI、猪子寿之、吾峠呼世晴、東信、岩崎明子、ヒカル・ナカムラ、菊野昌宏、阿古智子、小澤マリア......。免疫学者からユーチューバーまで、コロナ禍に負けず輝きを放つ日本の天才・異才・奇才100人を取り上げています。
十一代目。世襲制のない国から見たら、少し理解が難しい。
イギリスならヘンリー8世などがいるが、アメリカではブッシュやトランプ大統領のジュニアのように、だいたい2代目が限界。「マーシャル・マザーズ3世」も本名を避け、エミネムというラッパー名で活動する。
数百年、同じ名前を受け継ぐことにどういう意味が? 十一代目市川海老蔵さんの登場を待つ間、初代パックンはそう考えていた。
Zoomの画面に現れた海老蔵さんは白Tシャツ姿。一見アスリートにも見える。努力で得た肉体美だ。聞いたら、歌舞伎は体に対する負担が多く、稽古の翌日は「体が動かないぐらい筋肉が硬直している」ことが多いそうだ。
スポーツ選手と違って歌舞伎俳優にオフシーズンはない。毎日100%やり切るために、一日4時間しか寝られなくても、トレーニングはサボれないという。
今は感染対策として上演時間に制限があり、着替える時間を短縮するために衣装をいつもより何重にも着込む。「普通の人は倒れちゃうぐらい暑いし重い」と言う。普通じゃない海老蔵さんでも、前十字靭帯と首を痛めていて治療を毎日受けている。
コロナ禍の下で体を張って伝統文化を守りつつ、オリジナル要素も加える。アメリカ人が憧れる「歴史」、そして彼らが重視する「イノベーション力」も、十一代海老蔵さんは兼ね備えている。白Tひとつでそこまで分かった。
ニューヨークの名門カーネギーホールなどで外国公演も多く成功させている海老蔵さん。
米CBSの看板番組『60ミニッツ』でも取り上げられ「歌舞伎の王子様」として広く知られているが、歌舞伎の王様ともいえる市川團十郎を襲名する予定の彼でも、劇場外の活動は多い。
だが、テレビや映画出演も本業の一環と考えているようだ。伝統文化となる前、「歌舞伎俳優はその時代のスターだった。私は2021年に生きる市川海老蔵として、日本中、世界中の方々に知られたい」。それが「本来の歌舞伎俳優のスタイルだ」と話す。
「女性歌舞伎」も視野に
しかも襲名を機に活動の幅をさらに広げるつもりだという。干支や星座のように「12で一周」と考えると、自身は十三代目團十郎となるから、リセットする頃合いだ。「いい意味でファンの気持ちを裏切りたい」と目を輝かせる。
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