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サイコロを振って北朝鮮問題を考える(前編)
もちろん、これは極めて短絡的なリストだ。実際に先制攻撃を行うなら100倍も複雑で難しい条件になるはずだが、僕らは「ごっこ中」だからこれぐらいにしよう。それでは、それぞれの項目に確率をつけてサイコロを投げよう。例えば成功率が50%だったら、サイコロの目で1~3が出たら成功で、4~6が出たら成功と考えるのだ。でもせっかくだからここでは極端に楽観的な試算で、どれにおいても85%ぐらいの確率で成功すると設定しよう。
つまり、サイコロの目が1~5なら成功となり、6が出た場合は失敗だ。もちろん、項目1つ1つに合わせて毎回サイコロを投げることになる。上記のリストだと5回投げる。1回でも6が出たら失敗になる。
この計算だと、成功する可能性は十分なように感じるかもしれない。自分のカジノを破産させたとはいえ、トランプはギャンブルが好きそう。もしかしたら、賭けに出るかもしれない。
【参考記事】英「ロシアに核の先制使用も辞さず」── 欧州にもくすぶる核攻撃の火種
ただし判断する前に、先制攻撃が失敗した場合の結果も考えないといけない。
◆北朝鮮が在韓米軍、在日米軍への報復攻撃をする
◆北朝鮮が韓国や日本の民間人への報復攻撃をする
◆アメリカ VS 北朝鮮の戦争になる
◆アメリカ+韓国+日本 VS 北朝鮮の戦争になる
◆アメリカ+韓国+日本 VS 北朝鮮+中国の戦争になる
◆アメリカ側が戦争で"勝利"しても
――北朝鮮の核兵器が海外へ流出する
――北朝鮮で内紛が始まる
――北朝鮮から難民が大量に出て韓国や中国も不安定になる
これらも楽観的にサイコロを投げてみてもいいが、1つでも6が出た場合、大惨事になる。いろいろな試算はあるが、戦争になったら100万人単位で犠牲者が出る事態はほぼ避けられない。そんな危険な賭けになど出たくないだろう。
ただ、ここがポイント。先制攻撃をしなくてもサイコロを投げ続けないといけない。
というのは先制攻撃をしなかった場合でも、さまざまな選択肢と可能性が残っているからだ。代替案の成果も保証できないから、先制攻撃以外のやり方も結局、一種の賭けになる。
先送りしたときのシミュレーションは次回に取っておこう。サイコロを持ったまま、続けてお読みください。
<後編(28日アップ予定)に続く>
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