韓国の苛烈な選挙戦、金大中と選挙参謀の実話を元にした『キングメーカー 大統領を作った男』
1960年代の韓国、大統領選をめぐる熾烈な駆け引き......『キングメーカー 大統領を作った男』
<韓国の第15代大統領、金大中と彼の選挙参謀だった厳昌録にインスパイアされた『キングメーカー 大統領を作った男』......>
実話にインスパイアされた韓国の俊英ビョン・ソンヒョン監督の新作『キングメーカー 大統領を作った男』では、1961年からの10年間を背景に、長きにわたる独裁政権の打倒を目指す政治家とその理想に共鳴した影の選挙請負人の協同、大統領選をめぐる熾烈な駆け引きがスリリングに描き出される。
1961年、韓国東北部の江原道で小さな薬局を営むソ・チャンデは、独裁政権を打倒して世の中を変えたいという思いから、野党新民党に所属するキム・ウンボムに肩入れしていた。チャンデはウンボムの選挙事務所を訪ね、「1票を得るより相手の10票を減らす」戦略を提案する。ウンボムはその戦略に賛同はできなかったが、チャンデに興味を持ち、彼を選挙チームに加えることにする。
ウンボム陣営には資金も人脈もない。チャンデは、選挙チームに当事者意識を植えつけて結束を図る一方で、ネガティブキャンペーンから詐欺まがいの賄賂工作まで、次々と汚い戦略を打ち出していく。その結果、ウンボムは、国会議員選挙に勝利し、新民党の大統領候補となるが、大統領選を前にしてある事件が起こり、ウンボムとチャンデの間に決定的な亀裂が生じる。
実在のモデル、金大中と彼の選挙参謀
本作の冒頭に「これは実話を元にしたフィクションです」とあるように、キム・ウンボムとソ・チャンデには実在のモデルがいる。後に第15代大統領になる金大中と彼の選挙参謀だった厳昌録だ。
『金大中自伝(I) 死刑囚から大統領へ----民主化への道』では、厳昌録のことが以下のように綴られている。
「厳昌録は選挙の鬼才だった。江原道麟蹄の補欠選挙のときから私を手伝った。六七年の木浦の選挙では傑出した戦略で、行政の力が総動員された官憲選挙を骨抜きにした。選挙戦の情勢を正確に読み、大衆心理を見抜く能力を持っていた。何よりも組織づくりの名手だった」
この記述にある67年の木浦の選挙では、朴大統領が、金大中だけは絶対に当選させてはならないと、中央情報部と内務省の幹部らに指示していた。金大中が軍事政権の失政を正面から攻撃していたからだ。さらに、朴大統領に対抗する野党候補を決める党大会では、金大中は非主流のひとりに過ぎず、彼の周囲の人たちまでが候補を辞退することを勧めるような状況だった。
それだけに、ウンボムとチャンデが、劣勢を覆していく展開は、見応えのあるドラマになる。しかし、本作にはより深いテーマが埋め込まれ、冒頭から一貫した流れを形作っている。
イタリア映画界で異彩を放つ女性監督の新作『墓泥棒と失われた女神』 2024.07.18
アウシュヴィッツ収容所の隣、塀のこちら側のファミリードラマ『関心領域』 2024.05.23
学校で起きた小さな事件が、社会システムの欠点を暴き出す『ありふれた教室』 2024.05.16
19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』 2024.04.25
アイスランドがデンマークの統治下に置かれていた時代の物語『ゴッドランド/GODLAND』 2024.03.28
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員