アベノミクス論争は無駄である
論点2)アベノミクスは成功したのか
幅広い解釈に基づき、政権サイドの目的からすれば、就任後3年が経過しても、一定の支持率を保ち、選挙も勝ち続けてきたから成功と言えるだろう。政権維持という目的は達成されている。
論点3)アベノミクスで経済はよくなったのか
これは選挙的には、次の論点になる。
論点3-1 民主党政権時と現在の安倍政権時では、どちらの方が経済の状態が良いか
景気ということであれば、ここは解釈の余地なく、現在の方が良い。GDPの水準で見ても、雇用数で見ても、どの数字をとっても現在の方が景気は良い。
長期的な経済状況という意味では、どちらも良くも悪くもない。長期的な日本経済の状態に変化はない。
一方、金融政策や財政状況により、長期的なリスクが現在の方が高まっている。
よって、短期的な景気はよくなったが、長期的なリスクは高まった、というのが公平な評価であろう。
論点3-2 その結果は、アベノミクスによるものか。あるいは民主党の経済政策によるものか。
どちらでもない。
これが経済政策論争、アベノミクスが、今回の参議院選挙、前回の衆議院選挙で争点にならなかった理由である。今回の論戦もすべて無駄である。
なぜなら、日本経済は、アベノミクスと無関係に回復しているからである。
アベノミクスで経済は良くなったのか──関係ない。
短期的な景気は安倍政権になってとてもよくなったが、それはアベノミクスによるものではなく、いかなる経済政策によるものでもない。
日本経済は、自律的な景気循環および、世界的な景気回復により、景気がよくなったのである。
したがって、現在の景気状況に基づいて、経済政策論争、これまでの経済政策の評価をすることは意味がない。
現在の政策論争の論点を挙げてみよう。
論点A)民主党政権時の方が経済成長率が高い
これは事実である。しかし、民主党の経済政策が良かったことを意味しない。リーマンショック後であるから、急激に落ち込んだ反動で景気が大きく回復したからである。増加率が大きいだけで、GDPの水準は低く、2010年から12年の方が経済状態が良かったというのは誤りである。経済政策が現在よりも良かったかどうかも分からない。状況が違いすぎて、客観的な比較は出来ない。意見は様々であろうが。
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