フィリピン次期大統領ドゥテルテ氏、意外に深い華人とのつながり
また、華人に対するアキノ大統領自身の姿勢も厳しかったとされる。呉氏が強く印象づけられたのは、在任中のアキノ大統領がフィリピン最大の華人団体である「菲華商人総会」において、華人たちが脱税や逃税に熱心で、納税の義務を果たしていないと批判したことだった。お金の話には、華人はとりわけ敏感だ。アキノ氏にも華人の血が流れているとされるが、この「脱税批判」発言以後、華人社会ではアキノ大統領への不信が固まったという。
「わたしたち華人が求めているのは、法的にも制度的にも公平で、治安もよい安定的な環境のもと、経済活動に存分に集中できることと、中国とは激しい喧嘩をしないことです」と、マニラで会った40代の華人ビジネスマンは語った。もちろん世代間や個人で考えに違いはあろうが、総じていえば、そんな華人特有の心理が、今回、フィリピンの大統領選において、華人を相対的にドゥテルテ支持の方向に導いたと見ることもできるかもしれない。
※「フィリピン人口の5000万人」を「フィリピンの有権者人口の約5000万人」に訂正しました(5月17日)
モラルなき中国の大国化に、台湾・香港の人々は尊敬を感じない 2022.06.01
「血脈」を重視する習近平が「台湾・香港」に固執する理由 2022.05.25
さらば李登輝、台湾に「静かなる革命」を起こした男 2020.08.01
なぜ「台湾のなかの日本」が映画になるのか 2017.07.21
改革開放の「真実」はどこにあるのか――閻連科『炸裂志』を読む 2017.01.11
自転車の旅が台湾で政治的・社会的な意味を持つ理由 2016.11.21
トランプ政権誕生で中台関係はどう動くか 2016.11.14