最新記事
シリーズ日本再発見

品川2分・夜10時――東京一便利な都市型エンタメ水族館

2016年11月30日(水)13時12分
長嶺超輝(ライター)

 この1階に新設された「コーラルカフェバー」は、アルコール類やソフトドリンクを提供するバーコーナーだ。アクアパーク品川だけのオリジナルカクテルも充実している。購入したドリンクを持ち歩きながら、テーブル形の水槽を泳いでいる魚たちを眺めるなんて、他ではなかなかできない体験だ(他の展示へも持ち歩きも可能)。

japan161130-3.jpg

悠久の時間を超えて漂流するかのようなクラゲのゆったりとした動きが、都会のせわしなさや喧噪を忘れさせてくれる

 同じく新たに造られた「ジェリーフィッシュランブル」は、クラゲのみが展示されたエリアである。壁と天井に鏡面が敷き詰められ、円筒形の水槽内をたくさんのクラゲが漂う。まるで果ての見えない無限の世界に迷いこんだかのようだ。3分ごとにめまぐるしく入れ替わる音と光の演出の中で、クラゲたちがゆったりマイペースで泳いでおり、"静"と"動"が入り交じる独特の味わいを体感できる。

なんといっても一番人気のイルカパフォーマンス

 エスカレーターで2階へ上がると、ダントツで一番人気のイルカパフォーマンスの専用プールが視界に飛び込んでくる。立ち見を含めて約2000人の観覧客を収容できるこの「ザ スタジアム」のプールでは、天井から中央へ円柱状に降りてくる無数の水滴の"カーテン"が、一連の水上パフォーマンスとの相乗効果を生み出す背景演出となっている。

 このイルカパフォーマンスは、昼と夜で雰囲気が変化する。

 天窓から漏れた陽がプール全体に差し込む昼の部は、明るくカジュアルな雰囲気。観客も手拍子やウェーブでショーに参加し、会場全体で盛り上がる。イルカたちが観客に向けて水しぶきを浴びせる演目もあり、前列で観覧する場合は、雨ガッパなどの着用が必須となる。私も実際に観覧したが、カッパを着た観客めがけて、イルカたちが狙いを定めて水しぶきをかけるものだから、その高い精度に驚いた。

 夜の部では、イルカのトレーナーたちも黒シャツに蝶ネクタイ、スカーフなどでドレスアップして観客を迎える。プール中央を取り囲む水滴のカーテンに向けて、360度の全方位から映像が投射される。つまり、無数の水滴にプロジェクションマッピングが行われるのが、夜のパフォーマンス最大の特徴だ(時季によってプロジェクションマッピングが行われない場合もある)。

 プールの真上に浮かび上がる、色彩鮮やかなプロジェクションマッピング映像と、水面から勢いよく飛び上がるイルカの演技との印象的なコラボレーションで、幻想と現実が交差する不思議な雰囲気を楽しめる。昼の部に比べると「鑑賞」に重きが置かれており、言語や文化を超えた普遍的な感動が空間を包み込む。

 夜8時以降の時間帯に行われる水族館のイルカパフォーマンスは珍しいといい、とっておきの晩のディナーの前後など、フォーマルな服装でも抵抗なく訪れることができそうだ。

【参考記事】噂のロボットレストランは家族連れでもイケるらしい

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、中立金利以下への利下げも 関税で物価下押し

ワールド

メルツ次期独首相、トランプ氏に「関税ゼロ」を提案へ

ワールド

スペイン全土で大規模停電、市民生活混乱 ポルトガル

ワールド

米コロラド州のナイトクラブで不法移民114人拘束、
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中