温泉だけでなく、温泉地の「すべて」が詰まったテーマパーク
しかし、いかに種類が多彩でも、入浴ばかりでは、遊び盛りの子供が飽きてしまうのも時間の問題だ。その点、ここなら心配はいらない。"温泉テーマパーク"と謳うだけあって、「江戸」と「祭り」をコンセプトとした非日常感満載の演出と多彩なエンターテインメントが用意されている。
そんな大江戸温泉物語を楽しむには、まず、自らがその世界観に同化すること。
受付を済ませた後に浴衣に着替えるのだが、男性は4種類、女性は5種類の中から好みの柄を選べる。サイズもSから3Lまで揃えてあり、大柄な人向けには少数ながら4Lサイズも用意されている。これならば、いかに大柄な外国人であっても"YUKATA"スタイルを楽しめるだろう。「外国人のお客様は、浴衣に着替えること自体を楽しまれている。また、多くの方が浮世絵をモチーフとした柄を選ばれる」(森田氏)
脱衣所から出ると広がるのは、温泉と並ぶメインの施設、テーマパークの所以たる「広小路」だ。賑やかな祭り囃子が流れるなか、中心には四方に提灯が連なる火の見櫓がそびえ立ち、その周りには、江戸時代の町並みを模した外観に演出された各種店舗が並ぶ、圧巻の光景が目の前に現れる。まさしく一瞬にして非日常の異空間へと誘われるのだ。
広小路で暖簾を掲げるのは、寿司やラーメン、カレーに、カフェやクレープ店など計16店舗。ほぼカウンターで料理を注文し、テーブルや畳敷きの大広間で飲食するフードコートスタイルだが、座敷の個室で本格的な会席料理を楽しめる和食店も用意されている。
祭りの夜店を思わせる遊び処も豊富に並ぶ。射的やスマートボール、ヨーヨー釣りに型抜きなど計11ブース。森田氏は「外国人のお客様に圧倒的に人気なのが手裏剣投げ。大人も子供も『忍者、忍者!』と大騒ぎで、ゲームの前には必ず手裏剣を持っての記念撮影が始まる」と笑う。しかし、この雰囲気ならば無理もない話。外国人ならずとも、大人であれ童心に帰って楽しめること間違いない。
なお、大江戸温泉物語をナイトスポットとしてお勧めする理由のひとつに、日帰り温泉と違って、多彩な宿泊設備が用意されていることがある。室内にジャグジー付きの露天風呂を有する特別室を筆頭に、和室と洋室を含め22室。70の寝台を擁する黒船のキャビンをイメージしたカプセルホテルや、バックパッカーならば、夜に仮眠室となる大広間で睡眠をとるという選択肢もあるだろう。
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インバウンド景気で外国人客は増加中
取材に訪れたのは平日の午後早くだったが、そんな時間帯でも老若男女の幅広い世代が浴衣姿で温泉やゲームを満喫中だった。また、外国人も家族やカップル、ツアー風の客などがちらほらと散見された。ここ大江戸温泉物語にも、インバウンド景気の影響が少なからずあるようだ。
森田氏が言う。「現在、年間の総入場者数は約100万人。そのうち、それまで10~15%程度だった外国人のお客様の比率が3年前ほどから増え始め、現在では20%程度にまで増加した」。また、以前はその半数以上が欧米人だったが、今では約8割が中国や韓国を始めとするアジア圏の客と、外国人の客層も変化したという。