「なぜ外国人観光客は日本の文化を勉強しないのか」と聞かれたクールジャパン専門家は...
思い込みを押し付けない
私が出会った強制的なおもてなしの最も奇妙な例として、ある外国人向けの学校の校長が、ある大口の寄付者との間で交わした困った会話について紹介したいと思います。その寄付者は高齢の日本人男性で、日本に対する外国人の関心を高めたいという思いから、定期的にその学校に寄付をしていました。
学校の責任者は、最近の留学生の傾向について話をし、その中でアニメやゲームで日本に興味を持つ学生が多い点についても言及したそうです。もちろん、これは紛れもない事実であり、私の最初の著書『日本のことはマンガとゲームで学びました。』のテーマでもあります。
しかし、その寄付者はそれを受け入れないどころか、責任者に向かって「あなたは間違っている」と怒り出したというのです。彼が「外国人はもっと日本の古典文学に興味を持たなければならない!」と言うので、校長はなんと答えてよいかわからず、すぐに話題を変えたそうです。
もし、あなたがこの校長だったら、どうしますか? 学生が日本の古典文学に興味がないとわかっていても、日本の古典文学に重点を置くように学校のカリキュラムを変更するでしょうか?
私はこの寄付者が、日本の学生がハリーポッターを通じて英語の本に興味を持つことも不適切だと考えているのではないかと思うことがあります。あるいは、シェイクスピアの本だけで子どもたちに英語を教える「べき」だと考えているのかもしれません。
それはもちろん、冗談ですが、いずれにしても、日本に興味を持つのに、どれが正解ということはないのです。海外の日本ファンを増やしたいのであれば、「ああしろ、こうしろ」と言うのではなく、それがどんなことであっても、まずは興味を持ってくれたことに感謝するべきでしょう。
『日本はクール!?――間違いだらけの日本の魅力発信』
ベンジャミン・ボアズ 著
クロスメディア・パブリッシング
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