最新記事
シリーズ日本再発見

桐生ココ、日本が生んだバーチャルYouTuberアイドルの「卒業」を世界中のファンが悲しんでいる

The Wild World of VTubers

2021年07月01日(木)18時30分
ジェイク・ディーン、ディーリア・マリネスク
桐生ココ

チャンネル登録者数は120万人以上、桐生ココを知っているか? HOLOLIVE.TV-SLATE

<日本から世界に普及したVTuber。そのスターである桐生ココの「卒業」発表に、外国のファンたちも騒然となった>

6月9日、衝撃の一報に世界中の若者が泣き、悲しげなミーム(ネット上でのはやりの画像やフレーズなど)をシェアし、ファンアートを投稿していた。日本のアイドルである桐生(きりゅう)ココの「卒業」を知って喪失感に襲われたのだ。

言っておくが、ココは「リアル」なアイドルではない。日本のカルチャーが生んだバーチャルYouTubeのスターだ(チャンネル登録者は120万人を超える)。バーチャルYouTubeの世界をさくっと紹介しよう。

◇ ◇ ◇

バーチャルYouTubeとは

生身の人間ではなくアニメやバーチャルのキャラクター「バーチャル・ユーチューバー」、略してVチューバーをフォローするチャンネルだ。Vチューバーは2010年代半ばに日本で人気になり、今や世界中に普及している。

キャラは大抵、生身の人間の動きをモーションキャプチャー技術でアニメ化。活動の場はYouTubeや中国のbilibili(ビリビリ)など人気の動画プラットフォームの生配信だ。アニメ風のかわいい人物の場合もあるが、人間の言葉を話す動物から甲高い声で意味不明の動きをする半人半獣まで、幻想的な姿をしていることが多い。

「ホロライブプロダクション」は、日本のテクノロジー・エンターテインメント企業のカバー株式会社が運営するVチューバー事務所。所属タレントは桐生ココを含め52人。特に兎田(うさだ)ぺこら、宝鐘(ほうしょう)マリン、白上(しらかみ)フブキなどが有名だ。ホロライブは2大Vチューバー事務所の1つ(もう1つは「にじさんじ」)で、中国、インドネシア、英語圏向けのグループも結成した。

桐生ココとは?

ホロライブのトップスターの1人。2019年12月のデビュー以来、YouTubeの投げ銭機能「スーパーチャット(スパチャ)」で2億6000万円以上を稼いでいる。スパチャは2017年に導入され、登録者が有料でチャット欄のメッセージを目立たせることができる。

桐生ココは公式プロフィールによれば「人間の文化に興味を持ち、異世界から日本に語学留学中の子供のドラゴン」。年齢は3502歳(ドラゴンとしてはまだ子供)で、「仁義と任侠を重んじる正義感あふれるドラゴンで、気合いで人間の姿を保っている」。

いってみれば、ココはVTube界の大物だ。英語が流暢で、いち早く動画に字幕を付けて外国のユーザーの支持も勝ち取った。バイリンガルのココは英語圏にもファンが多い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調

ワールド

ロシア凍結資産の利息でウクライナ支援、米提案をG7

ビジネス

北京モーターショー開幕、NEV一色 国内設計のAD
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中