NGT48山口真帆さん暴行事件に見る非常識な「日本の謝罪文化」
日本の美徳「我慢」は世界の視点では「マゾヒズム」?
日本通の海外識者は、日本の「我慢の文化」との関連を指摘する。米ミドルベリー大学の日本研究者、リンダ・ホワイト准教授は、日本人の間で「我慢」の概念は最も価値が高いものだと指摘。「男性たちは、長時間労働や拷問じみたフィジカルトレーニングを続けることでこれを体現する。女性の場合は、しばしば苦難に耐えることや、虐待じみた社会的人間関係とパワー・ヒエラルキーを受け入れることで『我慢』をする」とSCMPに語っている。
ホワイト准教授はさらに、「夫から虐待されても妻は我慢しなければならない。上司が性的なことを求めれば、若い労働者は我慢しなければならない。アウトサイダーにとっては、我慢はマゾヒズムに見えるかもしれないが、日本の男女両方に非常に重視されている特性だ」と解説する。
そんな日本でも、ジャーナリストの伊藤詩織さんが声を上げたことで始まった日本独自の#metoo運動があり、女性の地位向上が図られている。しかし、米タンパ大学の日本のジェンダーの専門家、リヴ・コールマン准教授は、昨春の福田淳一財務事務次官がセクハラの告発によって辞任した件では、「クレームの声を上げた女性に対する大衆の非難も大きかった」と、日本では#metoo運動への抵抗も大きいと指摘している(SCMP)。
また、山口さんの謝罪を伝える記事には、日本の女性の地位が低いことに驚くコメントも多く寄せられている。
・おい見ろ、日本が女性を従属させている。ショッキングだ。(Mail online)
・日本よ、世界に向けて何が言いたいんだ? 男はやりたいことをなんでもできて、女性は責任を感じなければならないとでも? 最悪だ。(Mail online)
・彼女がかわいそうだ。私は2ヶ月間日本で過ごし、女性たちがいかに黙っていなければならないかと日本の友人から聞いた。日本のテクノロジーと経済は大変進んでいる。しかし、女性を尊重するということに関しては、悲しいことにその他の国と同じだ。(Mail online)
・日本のアイドル産業はとても毒されている。いかに女性たちをひどく扱っているか、もっと光を当てなければならない。(Kotaku)
・これは事実だ。文化的な影響が大きい。しかし、我々がそれを受け入れる必要はない。まるでイスラム国家のようだ。(Kotaku)
当時の責任者は雲隠れ、後任が頭を下げる
これら国内外の非難の声を受け、山口さん本人の謝罪の4日後に、NGT48を運営するAKSの幹部がメディアの前で頭を下げて謝罪した。その謝罪の言葉は、ほぼ定型通りの「ファンの皆様にご心配とご迷惑をお掛けしておりますこと、メンバーに不安な思いをさせてしまったことを改めておわび申し上げます」というものだった。
会見には、「事件をもみ消そうとし、あまつさえ本人に謝罪させた」という非難の焦点となっている前NGT劇場支配人・今村悦朗氏は姿を見せず。代わりに本件に直接関わってこなかった後任の早川麻依子氏が頭を下げた。当の今村氏は「雲隠れに違い状態になっている」(テレビ局関係者)というから、「深々と頭を下げるが誰も責任を取らない」という日本の「無意味な」謝罪文化は健在といったところか。
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