ベンチャーで地方創生、山形の「鶴岡モデル」成功の理由
またホテル近くには、全天候型の児童施設「KIDS DOME SORAI(キッズドームソライ)も11月に開業予定だ。この他にも地産地消を推進する農業や、地域交流が生まれるようなプランに取り組む予定だという。
この鶴岡モデルについて、「お互いがお互いにとって役に立てるように努力しよう、という意識で付き合っている。そこの信頼感はすごい」と話すSpiberの関山さん。「このサイエンスパーク内でお互いに競い合っているポイントは、どれだけ人や社会に価値を生んでいるかなんですよ」と、ヤマガタデザインの山中さんも言う。
冨田所長がとても興味深いキーワードを話してくれた――「好奇心ドリブン」。イノベーションの創出には不可避なことだろう。サイエンスパークで出会った人たちの共通理念のように通底しているのは、まさにこの感覚だ。
基礎研究、応用技術、事業化まで一人でやる必要はない。研究にエキサイトする者。普及にエキサイトする者。地域開発にエキサイトする者。それぞれの人たちの全ての情熱が重なり合い、鶴岡、日本、ひいては人類のためになっていく。「天の時、地の利、人の和、まさにそこに集約されると思います」と山中さん。
鶴岡サイエンスパークを直接訪れて、確信へと変わった。
冨田所長の蒔いた種が、人を集め、芽吹き始める。地方創生の取り組みの中でエキサイティングな仕事が増え、また新たな仕事を生み出せる環境も整い始めている。その大きな功績は、おそらく歴史が証明してくれることだろう。