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ヨシダナギ、気鋭のフォトグラファーの知られざる「本性」

2018年04月06日(金)17時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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『ヨシダナギの拾われる力』より

中卒という経歴に後悔も恥もない

アフリカ人が大好きで、少数民族のもとを単身で訪ねて写真を撮る。フォトグラファーという職業でありながら、写真もカメラも好きではない──そうした部分だけを聞くと、いかにも「自然体のアーティスト」といった印象を受けるが、「自然体とは対極にいる女」がヨシダナギであるらしい。

写真を上手くなろうと努力しないのも、本人曰く「かなりの意地っ張り」な性格の裏返しだ。自分にできることなど限られている、だからこそ数少ないできること(例えば、何でも食べられること)ではとことん意地を張るが、それ以外のこと(例えば写真)はできないと受け入れて諦める。

確かに「自然体」ではないかもしれないが、それでも、肩の力を抜いていることには違いないだろう。そこには「できるだけ気楽に生きていきたい」という彼女の切実な思いがある。

幼い頃のヨシダナギは、「『人生ゲーム』をひとりで何十回もやるくらい」根暗だったという。どこか周りの子とは違うと本人も感じていたようで、それもあってか、小学4年で引っ越して以来ずっといじめを受けていた。それは、年を追うごとにエスカレートしていったそうだ。

そんなとき、両親が離婚する。父親に引き取られた彼女は、唯一の味方だった母親がいなくなったことで、つらすぎる学校生活を続ける意味も失ってしまう。結局、中学2年の夏以降はほとんど学校に出ることなく、そのまま卒業。もちろん高校にも行っていない。

だが、その決断を後悔したことはなく、中卒という経歴も決して恥じていないと彼女は言う。


 少し前にトークショーに来てくれた方から、「子どもが登校拒否になって悩んでいたが、ナギさんの話を聞いて子どもの気持ちを理解できた。学校に行かなくてもいいと思ってあげられるようになった」という話を聞かせてもらった。
 つらい思いをするだけの学校なんて行く必要はないし、(中略)そんなに苦しい思いをしてまでやるべきことなんて何ひとつない。私がそう伝えることで少しでも楽になる人がいるのであれば、私の過去にもきっと何かしらの意味があるのだろう。(177ページ)

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