若い女性の写真とAIで偽情報拡散──スパイ企業の手口「SNSハニートラップ」とは
スマホ画面の向こうの「戦場」
しかし、この面で日本の備えは心許ない。
日本政府は昨年末に発表した防衛力整備計画のなかで、「サイバー領域における能力向上」を打ち出しが、今年度の防衛省予算で比べれば、敵基地攻撃能力を備えたいわゆるスタンド・オフ防衛能力に1兆4000億円が配分されるのに対してサイバー関連は2000億円と、予算規模には大きな差がある。
外務省でも、日本人を対象に外国からくる偽情報の収集・特定を今年度からAIを用いて始めているが、まだ始まったばかりだ。
防衛力強化の問題が「増税」一色に塗り替えられた責任の一端は、防衛費引き上げの方針をあまりに唐突に表明した政府にもある。とはいえ、増税は筆者自身もありがたくないが、「増税」によって防衛力強化に関する議論が見えにくくなるのも問題だろう。
日本は今のところミサイルの直撃を受けていないとしても、スマホ画面の向こうには火の手の上がらない「戦場」がすでに広がっているのだから。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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