コラム

ウガンダ選手の失踪は例外ではない──国際大会で「消える」アフリカ系アスリートたち

2021年07月23日(金)12時20分

ただし、いくら現状に絶望したとしても、その日の生活にも事欠く貧困層には、国外に逃れる術がほとんどない。逆に、ムセベニ政権とよろしくやっている富裕層、あるいは医師免許や理系の博士号などを持ち、欧米諸国でも移住を受け入れられやすい人々は、何も日本で逃亡する必要がない。

その意味で、今回のセチトレコ選手による逃避行は「中間の悲哀」を体現したものだったといえる。今回の東京五輪はとかく話題に事欠かないが、コロナ感染拡大防止の観点から選手団の移動を制限していたことは、結果的に逃亡を図るアスリートを制限する効果を強めたということはできるだろう。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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