コラム

衆院選敗北、石破政権の「弱体化」が日本経済にとって望ましい理由

2024年10月29日(火)17時00分

今回の総選挙で議席を4倍に増やした国民民主党は、「手取りを増やす」と掲げていた。現役世代を中心に家計の税負担が高まり過ぎている状況を、これまで自公政権は放置して増税政策を続けた。現行の政治体制への不満も、自公政権の敗北の大きな要因だろう。日本経済を、短期的かつ長期的に成長させる効果的な政策は、家計・企業に対する減税政策だと筆者は常々考えている。

また、石破首相の政治的な求心力は相当低下しており、早期退陣のシナリオも高まっている。自ら定めた総選挙の勝敗ラインを下回れば、多くの場合リーダーは責任を取るのだから、自民党内での石破降ろしの機運が高まるのは自然な動きだろう。

通常は政治情勢の安定は、日本の株式市場にとってポジティブに働く。ただ、石破政権においては、その経験則が通用しない。2025年にかけて石破政権の弱体化が更に明確になり、それが日本株市場の追い風になる展開を筆者は予想している。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

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プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書が2025年1月9日発売。

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