円安の投機を後押しした日本メディアの極論
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11月11日、為替市場は円高に動いた...... REUTERS/Issei Kato
<近頃の円高ドル安の動きは、春先から続いた円安ドル高基調が、大きな転換点を迎えたと位置づけられるのではないか。その背景を考える......>
米中間選挙後の11月10日に公表された、10月分の米CPIが予想外に下振れたことをきっかけに、米金融市場では大きく株高、金利低下が進んだ。為替市場ではドル円は1ドル146円台から一気に142円台前半に下落、翌11日には一時138円台まで更に円高に動いた。2日間(10~11日)で7円も円高が進んだのは、1998年以来24年ぶりの上昇率と報じられている。
この大幅な円高ドル安の動きは、春先から続いた円安ドル高基調が、大きな転換点を迎えたと位置づけられるのではないか。当コラム(9月20日)などで、今年のドル高円安の主たる要因が米国にあり、米国経済やFRB(連邦準備理事会)の政策でドル円の方向は変わるとの考えを筆者は示してきた。この意味で、米国のインフレ指標がドル高円安の動きに影響するのは自然である。
円安というよりドル高の側面が大きかった
実際に、米国の高インフレを抑制するために、FRBによる「異例の大幅利上げ」が続くとの期待が、世界的なドル高をもたらした。ユーロなど多くの主要通貨対比でドル高が進んでおり、円安というよりドル高の側面が大きかったのである。
FRBによる引締めが「後手に回った」などの批判も散見され、「一時的」と思われた高インフレが、筆者にとっても予想外に長引いていた。そして、高インフレが収まらない状況が、永続するかのような悲観論が金融市場でも広がり、ドル高圧力を強めていたようにみえる。
ただ、中央銀行が利上げを続ければ、経済活動やインフレに影響するのは自明のことである。11月2日FOMC(連邦公開市場委員会)で、パウエル議長は、利上げの到達点を引き上げる考えを示す一方で、利上げペースを緩める対応を否定しなかった。
これは、FRBの金融政策の転換を意味するわけではなく、利上げを続けるFRBの姿勢は明らかである。そして、単月のCPIだけでインフレ動向を判断するのは難しく、インフレ鎮静化にはまだ時間がかかるとみられ、利上げは2023年春先まで続く可能性が高いと筆者は引き続き考えている。
この意味で、単月のCPIの値動きが、FRBの政策に及ぼす影響は決定的ではない。少なくとも言えることは、FRBによる利上げの景気抑制効果がようやく表れ始めている、ということではないか。
投機的な値動きも多分に影響していた
一方、これまでのドル円の動きを振り返ると、1ドル115円付近だった年初から一時150円台まで動いたわけで、短期間で実に約30 %もドル高円安が進んでいた。FRBの金融引締めによってドル高が説明できるとしても、先進国通貨の相対価格であるドル円レートが半年余りで30 %もの変動に至った背景には、投機的な値動きも多分に影響していた可能性がある。行き過ぎたドル高円安を転換させるには、FRBの引締め姿勢がほんの少し変わることを示す、「僅かなきっかけ」で十分だったのだろう。
通貨価値の相対価格である為替レートは、短期的にはいわゆる均衡値が存在しない。このため、市場参加者の期待や声が錯綜すると、一方向に値動きが行き過ぎる、いわゆるオーバーシュートが起きる。そして、ドル円などの先進国通貨において短期間での20%を超える変動については、投機が促すオーバーシュートである場合が多く、1ドル140円を超えていたドル円の値動きは、そのように位置付けられるように思われる。
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