コラム

アメリカの銃をめぐるパラノイア的展開

2016年02月23日(火)11時00分

銃乱射事件が再び起きる中、共和党候補は主張を繰り返す

 さて、この立てこもりが日々続く中、共和党の候補たちはびくともしなかった。それどころか有力候補のドナルド・トランプ氏は2015年12月2日に起きたカリフォルニア州サンバーナディーノのイスラム系移民夫婦による銃乱射事件を「ムスリム・テロ」と断じ、その現場で市民が全員銃を携行していたなら惨劇には至らなかっただろうと強気の演説を日々、繰り返した。

 トランプ氏が銃に関して聴衆を煽ると決まって大きな歓声が起きた。聴衆の中に数多くの退役軍人もいた。

 トランプ氏は当初アイオワ州の予備選挙でテッド・クルーズ候補に惜敗したが、その後ニュー・ハンプシャー州とサウスカロライナ州で圧勝。執筆時点で快進撃を続けている。

 その裏でまたミシガン州の片田舎、カラマズー市で銃乱射事件が起きた。白人男性が容疑者で、無差別に発砲。子供を含む一般市民が少なくとも6人死亡した。

 だがおそらく共和党候補は、「市民が正しく銃を使えれば犯罪抑止になる」というレトリックをトーン・ダウンさせず、反対に民主党のヒラリー・クリントン候補とバーニー・サンダース候補は火がついたように銃規制を主張することだろう。

 アメリカにはまったく相容れない二つの日常がある。ジェブ・ブッシュ元知事は銃の写真のツィートを今もって削除していない。


<ソース>
銃規制めぐる対立激化 オバマ大統領、涙の訴え 「感情的で上から目線の説教」と反発も(産経新聞)

Obama's gun wishes gruffly received by AZ Senate panel

Armed protesters refuse to leave federal building in Oregon

長引くオレゴン武装勢力占拠 意味不明の要求を展開 (WEDGE Infinity)

Oregon militia gets gag gifts with sex toys

米ミシガン州で銃撃事件、少なくとも6人死亡 (読売新聞)


プロフィール

モーリー・ロバートソン

日米双方の教育を受けた後、1981年に東京大学に現役合格。1988年ハーバード大学を卒業。国際ジャーナリストからミュージシャンまで幅広く活躍。スカパー!「Newsザップ!」、NHK総合「所さん!大変ですよ」などに出演中。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、タイ従業員1000人を削減・配置転換 生産集

ビジネス

ビットコインが10万ドルに迫る、トランプ次期米政権

ビジネス

シタデル創業者グリフィン氏、少数株売却に前向き I

ワールド

米SEC委員長が来年1月に退任へ 功績評価の一方で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story