「反日映画」と呼ばれても... 復讐劇『アジアの純真』は萎縮も忖度もしない
ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<チマチョゴリを着た女子高生と思いを寄せる主人公。通学途中に若い男たちに刺殺されてしまう彼女には双子の妹がいた。報復を決めた妹と主人公の男子高校生によるテロの旅。標的にしたのは>
タイトルが示すように、この連載は邦画がテーマだ。僕自身の選択ではない。長岡義博編集長の意向だ。
邦画についての連載を依頼されたとき、正直に書けば少しだけ困惑した。なぜなら僕は、どちらかといえば洋画派だ。邦画はあまり観ない。
数年前に酒の席で一緒になった同世代の映画監督は、「最近はオリジナルの企画はほぼ通らない」と、ため息をついていた。企画を通すための条件は2つ。主演にアイドル系の(客が呼べる)俳優をグリップしていること。アニメやコミックが原作であること。要するに大人が満足できる内容じゃない。そう説明してから彼は「だから今、邦画は世界で競争力がほとんどない。何よりも俺は、そんな映画を撮りたくてこの仕事を選んだわけじゃない」とうなだれた。
ただし、もちろんだけどアイドル系俳優が出演していて、原作をアニメやコミックに限定した邦画ばかりではない。どちらかといえば低予算のインディーズ映画に多いけれど、オリジナル企画もたくさんある。要するに僕がサボタージュしていただけなのだ。それに一昔前(つまり僕が映画青年だった頃)の邦画は刺激的だった。ならばその記憶と貯金で書けるかな。そんな思いで連載を引き受けた。
さすがに最近は、意識的に邦画を観るようになった。そして観るべきだったのに観ないままだった映画がたくさんあることに気が付いた。
『アジアの純真』の公開は2011年。タイトルは知っていたから、大ヒットしたPUFFYの同名曲の安易なパクリ、あるいは2人が主演のプロモーション的な映画を想像していたような気がする。でも実際に見たら土下座してわびても追い付かないほど、全く想像を超えていた。
映画の時代背景は、小泉純一郎首相が平壌を訪問して拉致問題が大きく前景化した2002年。主人公の高校生が思いを寄せる女子高校生が、通学途中に日本人の若い男たちに因縁をつけられて刺殺される。なぜなら彼女はチマチョゴリを着ていた(つまり朝鮮学校の生徒だった)から。現場には通勤や通学途中の多くの日本人がいた。でも誰一人として、チマチョゴリを着た彼女を救おうとはしなかった。群衆の中には、彼女に思いを寄せる男子高校生の姿もあった。
ナチスへの復讐劇『手紙は憶えている』とイスラエルをめぐるジレンマ 2025.01.17
和歌山県太地町のイルカ漁を告発した映画『ザ・コーヴ』は反日なのか? 2024.12.21
統合失調症の姉と、姉を自宅に閉じ込めた両親の20年を記録した『どうすればよかったか?』 2024.12.07
偶然が重なり予想もしない展開へ......圧倒的に面白いコーエン兄弟の『ファーゴ』 2024.11.22
韓国スパイ映画『工作』のような国家の裏取引は日本にもある? 2024.10.31
無罪確定の袴田巖さんを22年取材した『拳と祈り』は1つの集大成 2024.10.19
『シビル・ウォー』のテーマはアメリカの分断だと思っていたが...... 2024.10.12
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員