「私は信じております」自民党の統一教会報告は逆効果だ
自民党が本当に信頼を取り戻したいなら、必要なのは安易に信じるよりもあえて信じないこと、つまり慎重に疑う姿を示すことだろう。身内であってもフェアな調査ができるのか、人々はそれをこそ見ている。
茂木氏の言葉は、その姿勢が自民党にないことをはっきり示してしまった。
今回の点検を経て、自民党への信頼は回復どころか一層失われたのではないか。
これまで指摘されてきた問題の多くは、個々の議員が旧統一教会と関係を持ってきたこと、そしてその関係を隠したりうやむやにしたりしてきたことだった。だが、今やそれらの解明に躊躇する党自体にも、不信の目が向いてしまっている。
「厳正な対応を取る」とか、関係を断つことを「徹底する」とか、岸田首相が深刻な様子で意気込みを語れば語るほど、実際の行動の不十分さとの落差がどんどん広がっていく。安倍元首相と旧統一教会との関係についての調査を、亡くなっているから「限界がある」という不自然な説明で避け続ける姿勢も異様だ。
表情や言葉の重さで言行不一致は糊塗できない。軽さが際立つばかりだ。
<2022年9月27日号掲載>
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