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テンセントの「ミニプログラム」がアップルの「アップストア」と全く異なる理由
このような状況の中、中国人のコミュニケーションの中心に位置するウィーチャットのプラットフォームが開放されたことで、アプリ開発者はこぞってミニプログラムに参入しています。結果、商用のミニプログラムの開発者は開始後2年で150万人を上回り、2017年の1年間で104万人の雇用を生み出したという、市場調査会社iiメディアリサーチの調査報告もあるほどです(日経クロストレンド「テンセントのミニプログラム、開始後2年で開発者150万人」2019年1月 16 日)。
従来のスマホアプリと比較した場合、ミニプログラムは専用ストアがないのが特徴です。ユーザーが利用したいアプリを入手する主な方法の1つはQRコードのスキャンであり、レストランのアプリや小売りのアプリなど、リアル店舗のサービスと結びついているアプリが数多くあります。ミニプログラムはオンラインのビジネスだけでなくレストランや小売りのようなオフラインのビジネスも取り込み、「新小売」の世界にも影響を及ぼしつつあると考えられるでしょう。
MAU(マンスリー・アクティブ・ユーザー)数はサービス提供開始から順調に伸びており、2018年に入ってからは急増して4億人を超えるといいます。もっとも多く利用されているのはモバイルゲームで、ほかに生活関連サービス、モバイルショッピング、旅行関連サービス、ツール、金融関連サービスなどでも利用されているという調査報告があります(「QuestMobile Truth 中国モバイルインターネットデータベース2018年3月」参照)。
アップストアやグーグルプレイの概念に取って代わる、新たな概念といえるミニプログラムはその経済圏を拡大させており、アント・フィナンシャルやバイドゥなどの企業も同様のコンセプトのサービスを投入し追随しています。
テンセントの強みは、ウィーチャットを 10 億人が利用していることです。このコミュニケー ションプラットフォームを活用し、ユーザーの囲い込みをし、より幅広いサービスにおいてプラットフォームの覇権を握ろうというのがテンセントの戦略ではないかと考えられます。
使用頻度と顧客接点が勝者の条件
コミュニケーションアプリを押さえていることの強みははかりしれません。それは、コミュニケーションアプリは1日に何度も繰り返し使うものであり、それゆえに顧客接点が強くなるからです。日本ではコミュニケーションアプリではLINEがもっとも普及していますが、LINEを使っている方なら1日にLINEの画面をどれくらいの頻度で見ているか、LINEに割いている時間を考えてみてください。おそらく、スマホアプリの中でも親密度はもっとも高いレベルにあるでしょう。アマゾンやアリババのECを頻繁に使う人であっても、コミュニケーションアプリほどの利用頻度ではないはずです。
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