コラム

<3分解説>ポルトガルってどんな国? 480年もの交流の歴史を持つ、日本が「初めて出会った」西欧

2024年05月18日(土)12時03分
ポルトガルの首都リスボンの赤いトラムと黄色い街並

リスボンの赤いトラムと黄色い街並(写真AC)

<大航海時代の先駆者ポルトガルは、日本を含め世界各国に文化的影響をもたらした。現在は美しい街並みと温かい雰囲気で人気の観光地&移住地に>

新型コロナウイルスの流行も収まり、アフターコロナでインバウンド・アウトバウンドともに旅をしたい人々が世界にはあふれる。そうした中、日本は2025年大阪・関西万博の開催を控え、国際理解、多文化共生の機運が高まっている。

世界各国から150を超す国・組織がすでに参加を表明。「そんな国あったんだ」と驚くこともあるだろう。各国パビリオンの目玉の展示は何か。世界中の珍しい装飾品や民芸品、美味しい食べ物が一堂に会するまたとない機会だ。連載では、参加表明をしている各国を中心に、手軽にサクッと理解できるように紹介していく。

newsweekjp_20240514075309.gif ポルトガル共和国
 Portuguese Republic

大航海時代にいち早く海外へ進出したポルトガルは、当時、首都の貿易都市リスボンがヨーロッパを代表する都市とされ、7つの海を制したと言われるほど大きく繁栄した。

日本には1543年室町時代に到来し、当時まだ西洋を知らない日本に宗教や技術、食、思想、芸術など多くの面で影響を与え、社会に変化をもたらした。

大航海時代後は他国との競争や産業革命、政治的混乱によって衰退を経験したが、現在は旧植民地7か国とのポルトガル語圏共同体で協力関係を強め、財政再建に取り組む。

歴史を持つ都市と17もの世界遺産、海の幸で観光地として人気が高まり、安全さと穏やかな人々で移住先としても注目が高まっているポルトガルの横顔を3分で読み解く。

newsweekjp_20240514075636.png(写真AC、外務省のデータより作成)

概要

面積:9万2,225平方キロメートル(日本の約4分の1)

首都:リスボン市

人口:約1,029万人(2021年、IMF)

一人当たりGDP:2万4,296ドル(2021年、IMF)

主な言語:ポルトガル語

ポルトガル語(ポルトガル)のあいさつなど
おはよう ボン・ディーア
こんにちは ボア・タルデ
こんばんは ボア・ノイテ
ありがとう 男性:オブリガード 女性:オブリガーダ
さようなら アデウス
はい/いいえ スィン/ナオン

略史

1143年 ポルトガル王国成立
1755年 リスボン大震災
1910年 王政終焉、ポルトガル共和国成立
1932年 独裁体制の開始
1949年 NATO加盟
1955年 国連加盟
1974年 カーネーション革命(独裁体制の終焉、民主化)
1986年 欧州共同体(EC、現EU)加盟

過去の万博

1970年大阪万博:「人類の進歩と調和」をテーマとし、美術、科学、技術、思想、医学の面においてポルトガルが日本の近代化に果たした役割を紹介。現代のポルトガル社会を見せる展示も含まれた。

2005年愛知万博:「自然と歴史-陸地のはじまりであり、海の終わりであるポルトガル」をコンセプトに、ポルトガルと日本の文化的交流を紹介。パビリオン内では、ポルトガル名物を味わえるランチボックスを販売。

2020年ドバイ万博:大航海時代を思わせる船の形をしたパビリオン内では、「A World in One Country」をテーマとし、人々や自然の多様性をアピールする展示がされた。また、ポルトガル料理といったブルーエコノミー(海に関わる経済活動)も紹介。

特産品

ワイン:全国で優れたワインが作られ、それぞれの生産地の名を冠したワインが沢山ある。特にポルトガル第二の都市で作られたポルトワインが有名。

アズレージョ:青色が特徴的な装飾タイル。イスラム教徒から伝わり、ポルトガルが独自に発展させ、建物外部の装飾として使われるようになった。

newsweekjp_20240514080114.jpg(写真AC)

コルク:ポルトガルはコルクの生産が世界一。ワイン栓のみならずキッチン用品やファッション雑貨としても人気

バカリャウ:タラの塩漬け。豊富な海産物の中でも、バカリャウを使ったレシピは365もあると言われているほど定番の国民食。

プロフィール

くらふと

主に小中高生向けに異文化理解や世界の諸問題に関するワークショップなどの活動を行う東京外国語大学のボランティアサークル。(協力:南龍太)
Instagram:@tufs_kraft
X:@TUFS_KRAFT

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏暗殺未遂の容疑者を訴追、銃不法所持で 現

ビジネス

米国の物価情勢「重要な転換点」、雇用に重点を=NE

ワールド

ドイツ、不法移民抑制へ国境管理強化 専門家は効果疑

ビジネス

ボーイング、雇用凍結・一時解雇を検討 スト4日目に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優雅でドラマチックな瞬間に注目
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将来の「和解は考えられない」と伝記作家が断言
  • 4
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 5
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 6
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 7
    広報戦略ミス?...霞んでしまったメーガン妃とヘンリ…
  • 8
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 9
    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…
  • 10
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 4
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 5
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 6
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 7
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 8
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 9
    33店舗が閉店、100店舗を割るヨーカドーの真相...い…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 5
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 6
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 7
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 8
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 9
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 10
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story