コラム

<3分解説>イスラエルってどんな国? 国名の語源は「神と競う者」、飛騨高山にヘブライ語の観光案内がある理由は

2023年10月28日(土)18時03分
イスラエルの都市テルアビブ

テルアビブ Iurii Dzivinskyi/Shutterstock

<世界中に散らばっていたユダヤの民が結集する国イスラエル。悠久の歴史は2000年超に及び、絡み合う問題は途方もなく根深い>

新型コロナウイルスの流行も収まり、アフターコロナでインバウンド・アウトバウンドともに旅をしたい人々が世界にはあふれる。そうした中、日本は2025年大阪・関西万博の開催を控え、国際理解、多文化共生の機運が高まっている。世界各国から150を超す国・組織が既に参加を表明。「そんな国あったんだ」と驚くこともあるだろう。各国パビリオンの目玉の展示はなにか。世界中の珍しい装飾品や民芸品、美味しい食べ物が一堂に会するまたとない機会だ。連載では、参加表明をしている各国を、端的に紹介していく。

イスラエルの国旗 イスラエル国
 State of Israel

2023年10月、突如として始まったハマスによるイスラエルへの砲撃、そしてイスラエルの反撃。国際情勢が混沌を極めている。なぜ、中東はこうも入り組んでこじれ、解決困難な問題が長きにわたって残り続けているのか。

世界で唯一ヘブライ語を公用語とし、ユダヤ人が大多数を占める国・イスラエルは、その首都が国際的に認められていない。エルサレム市は、イスラエルのほぼ中央の内陸、標高約800メートルの丘陵地に位置する。ただし、ユダヤ、キリスト、イスラム3宗教の聖地がある旧市街を含む東エルサレムはパレスチナ自治政府の将来的な首都とされ、イスラエルが実効支配を続けているという構図だ。

1948年の建国時には約80万人だった人口は現在10倍超に増加、世界中に離散した「ディアスポラ」のユダヤの民が結集するイスラエル。混乱が続く背景を3分で読み解く。

イスラエルの地図(写真AC、外務省のホームページをもとに作成)

概要

面積:2万2,000平方キロメートル(日本の四国程度)

首都:エルサレム(※国際社会は不承認)

人口:約950万人(2022年5月 イスラエル中央統計局)

一人当たりGDP:約5万1,430ドル(2021年 世銀)

主な言語:ヘブライ語、アラビア語

ヘブライ語のあいさつなど
こんにちは シャローム
ありがとう トダラバ
さようなら レヒトラオート
はい/いいえ ケン/ロー
平和 シャローム

略史

70年頃 ユダヤ人の王国壊滅、以後世界中にユダヤの民が離散(ディアスポラ)
1917年 バルフォア宣言、イスラエル建国支持
1948年 イスラエル建国
1948~73年  第1~4次中東戦争
1952年 日本がイスラエル国承認
1967年 第3次中東戦争で、ヨルダン領の東エルサレム含むヨルダン川西岸地区、シリアのゴラン高原、エジプトのガザ地区とシナイ半島をそれぞれ占領
1982年 シナイ半島をエジプトに返還
1987~93年 ガザ地区でインティファーダ(パレスチナ人による民衆蜂起)
1993年 オスロ合意、パレスチナ暫定自治とヨルダン川西岸・ガザからの段階的撤退を約束
2005年 ガザ地区から軍事前面撤退
2010年 OECD(経済協力開発機構)加盟
2018年 米国が在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転
2020年 UAE、バーレーンと国交正常化
2023年10月 ハマスによる大規模攻撃とイスラエル側の反撃

過去の万博

2020年ドバイ万博:「心を繋ぐ~未来を創る」がテーマ。UAEの砂丘をイメージし、テントはイスラエルのイノベーションや文化、多様性を反映(紹介文をChatGPTで翻訳・要約、加筆)

特産品

ハムサ:5本の指の形をしたお守りでイスラエルの多くの家庭に飾ってある。ハムサはアラブ諸国にも見られ、アラビア語で「5」の意味

オリーブオイル:何千年もの歴史を誇る逸品。オリーブはイスラエルの国章

プロフィール

くらふと

主に小中高生向けに異文化理解や世界の諸問題に関するワークショップなどの活動を行う東京外国語大学のボランティアサークル。(協力:南龍太)
Instagram:@tufs_kraft
X:@TUFS_KRAFT

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

マグニフィセント7決算発表開始、テスラなど=今週の

ワールド

イスラエル首相「勝利まで戦う」、ハマスへの圧力強化

ワールド

対米関税交渉、日本が世界のモデルに 適切な時期に訪

ワールド

米イラン、核合意への枠組みづくり着手で合意 協議「
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 3
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投稿した写真が「嫌な予感しかしない」と話題
  • 4
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 5
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 8
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 9
    ロシア軍、「大規模部隊による攻撃」に戦術転換...数…
  • 10
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 9
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story