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落書きや放置自転車の発する「秩序感の薄さ」が犯罪を誘発する

(写真はイメージです) sonofsteppe-iStock
<不法投棄された家電ゴミの多い場所、水質の悪い河川の流域など、「無関心のシグナル」が強いところで犯罪は起きやすい。「小さな悪」が「大きな悪」を生み出す心理のメカニズムとは>
「場所の犯罪誘発性」に注目する「犯罪機会論」は、半世紀前に産声を上げた。それ以降、犯罪者が選んだ場所(犯行現場)の共通点を探ってきた。共通点さえ抽出できれば、それを「ものさし」にして、犯罪者が選んでくる場所(未来の犯行現場)を予測できるからだ。
研究の結果、犯罪発生の確率が高いのは「領域性が低い」場所と「監視性が低い」場所だと分かった。分かりやすい言葉を使えば、犯罪が起きやすいのは「入りやすい場所」と「見えにくい場所」だ。
したがって、このキーワードを「ものさし」にして、景色を解読することが防犯の基本となる。犯罪者が景色を見ながら犯行を始めるかどうかを決めるように、私たちも景色を見ながら警戒すべきかどうかを決めればいいわけだ。
縄張り意識を高め、心理的なバリアを築く「割れ窓理論」
海外では、この「領域性」と「監視性」を高める取り組みが強力に推進されている。
このうち、ハード面を重視するのが「セプテッド」(CPTED: Crime Prevention Through Environmental Design)と呼ばれ、「防犯環境設計」と訳されているものであり、ソフト面を重視するのが、ハーバード大学研究員(後にラトガース大学教授)のジョージ・ケリングが発表した「割れ窓理論」(Broken Windows Theory)である。
防犯環境設計が「区画性」を高めることによって、ターゲットへの接近を防げる物理的なバリアを築こうとするのに対して、割れ窓理論は「縄張り意識」を高めることによって、心理的なバリアを築こうとする。
また、防犯環境設計が「視認性」を高めることによって、犯行を抑止する物理的な視線を確保しようとするのに対して、割れ窓理論は「当事者意識」を高めることによって、心理的な視線を確保しようとする。
縄張り意識が感じられない場所は、犯罪者が警戒心を抱くことなく、気軽に立ち入ることができる「入りやすい場所」だ。また、当事者意識が感じられない場所では、犯罪者は「犯罪は見つからないだろう」「見つかっても通報されないだろう」「犯罪を止めようとする人はいないだろう」と思い、安心して犯罪を始められる。言い換えれば、見て見ぬ振りをしてもらえそうな「見えにくい場所」なのである。
そうならないように、割れ窓理論は、人々の縄張り意識と当事者意識を高めようとするので、コミュニティにおける秩序違反行為がもたらす「ほころび」の修繕を重視することになる。縄張り意識と当事者意識が高ければ、「ほころび」が放置されるはずがないからだ。
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