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【ブレグジット】イギリスとEUが離脱案で合意 最大の難関は英議会
離脱協定案でEUと合意に達し、嬉しそうなジョンソン英首相(左)とユンケル欧州委員長(10月17日、ベルギー・ブリュッセルのEU本部) Francois Lenoir-REUTERS
<EUとの合意はできたが、「ハードブレグジット(合意なきEU離脱)」のリスクがなくなったわけではない>
英国による欧州連合(EU)からの離脱を目前に控えた10月17日、英国とEUは修正離脱協定案の合意にこぎつけたと発表した。
離脱協定は離脱後の条件を定めるもので、これが英国の議会で承認された場合、英国とEUは2年間にわたる移行期間に進む。この期間に自由貿易の締結に向けた交渉が行われる。
離脱が決定された3年前の国民投票から今まで、離脱交渉の第1段階の歩みは遅く、メイ前英首相はEUと合意した離脱協定案を英下院で3回も否決され、退陣する羽目になった。
今回の合意で、予定日の10月31日に「必ず離脱する」と宣言して新首相となったボリス・ジョンソン氏がその約束を守れる可能性は出てきた。
しかし、最大の難関はこの離脱協定案を英議会が承認できるかどうか。
与党保守党は下院で過半数を割っている。英領北アイルランドの地域政党「民主統一党(DUP)」(10議席)の協力を得ることで法案を通過させようとしてきた。
9月には、離脱日の延長法案に賛同した保守党議員21人を「追放」してしまったため、さらに議席数を減らしてしまった。
最大野党・労働党やこれに続く議席を持つスコットランド民族党、そして自由民主党の党首や代表者らはすでに「この離脱協定案を拒絶する」と表明している。
労働党議員の中には離脱支持者が多い選挙区を代表する議員がおり、賛成票を入れる可能性もあるが、どれぐらいの数になるかは不明だ。BBCの予測では、数人から20人で、承認への道は険しい。
17日と18日、ブリュッセルではEU首脳会議が開催中だが、初日早朝、DUPが「現在の形では離脱協定案に同意できない」と発表したばかりだ。その後、欧州委員会のユンケル委員長が「合意ができた」とツイートし、バルニエ離脱首席交渉官が合意についての記者会見を開いた。
国内で十分な支持が得られない間に、英政府はEUとの合意をほぼ達成してしまったことになる(正式には、首脳会議及び欧州議会での承認後、「合意」となる)。
新離脱協定案の争点とは
英政府とEU側とが実質的に合意した離脱協定案は、メイ前首相とEUが合意した離脱協定案をベースにしたもので、BBCのクリス・モリス記者によると、「90%はメイ氏がまとめた離脱協定案だ」。
修正離脱協定案は3つの文書で構成されている。
(1)離脱協定の修正
(2)政治宣言の修正
(3)北アイルランドの同意について
「同意」というのは、(1)や(2)の中に入っている、アイルランド共和国と北アイルランドとの物流などの動きについての規制を維持するかどうかについて、北アイルランド議会の同意を得ることになっているからだ。
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