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政権直撃のパー券裏金問題と検察「復権」への思惑
「ナベツネ」が喝破した政党の本質
「派閥の功罪」を政治記者として知り尽くした渡辺恒雄氏(読売新聞グループ本社代表取締役主筆)は、若かりし頃に著した『派閥―保守党の解剖』(弘文堂)で、「政党はその生命力を、自己の内部に探り出さなければならない」と喝破している。政権の屋台骨が揺らいでいる中で必要なことは、当座を凌ぐことではなく、具体的な腐敗防止策を自律的に構想することだ。
パー券代金の現金処理を禁止し銀行振込・クレジットカード・電子マネーの利用に限定する。収支報告書上の匿名処理の基準となる「20万超」を「5万円以上」または「1万円超」に引き下げる。収支報告書の訂正可能期間を「1年」に制限するとともに、報告書の提出・訂正をExcel利用に限定、全ての項目について横串全文検索を可能とするデジタルデータとして公開する。不記載・虚偽記載罪を厳罰化する。会計帳簿や明細書をしかるべき猶予期間経過後に公開する......といった政治資金規正法の改正案はその例だ。
あるいは、政治家の「個人収支」公開範囲を拡大する(資産=ストックにつき普通預金口座も公開対象にし、収支=フローにつき株配当所得や売却益の公開を義務化するなど)。調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途を公表させ、残金は返還させる。日大に対する私学助成不交付のように、組織的な不祥事を起こした政党に対しては政党交付金(合計年315億円)を懲罰的に減額・不交付にする。「あっせん」に関わる資格登録と実績公開制度を創出する......といったことも一案である。米大統領が納税申告書を公開するという(トランプ前大統領が破ろうとした)連邦議会の慣行やLDA(ロビイング開示法)やFARA(外国代理人登録法)などの法令も一定程度は参考になろう。日本での個人献金文化を醸成するべく、匿名性(プライバシー)と追跡可能性(トレーサビリティー)双方を担保した新しい政治献金制度の構築も将来的な課題だ。
そうした腐敗防止の具体策を政党がいかに自律的に打ち出せるかが問われている。
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